クライアントは半世紀以上の歴史を持つ、地方印刷業界の老舗企業である。近年、印刷業界は収益の漸減傾向と同時に、大手による他分野への進出が進み、優勝劣敗が激しい。クライアント企業も、印刷業周辺のWEBビジネスへの進出を試みていたが、社内に適任者はなく、外注頼みで後手に回る傾向は否めなかった。今後、クライアントの主力としてWEBサービスを位置づけるために、力のあるWEBプロデューサーの選任が急務であり、人材プールを持つ弊社に解決を託された。
確かにIT業界の人材は数も多く、流動性も高い。すぐに複数の優良候補者に一定の目処がついた。しかしこの案件には、転職回数の数や幅の広さを持つ候補者がより適任であると、コンサルタントの経験から考えた。
一般的に転職回数の多さは、流動性の高いIT業界でも好まれるものではない。歴史ある印刷業界なら、尚更疎まれることは想像に容易い。それでもこの案件のWEBプロデューサーは、大企業への適応力、部門を立ち上げ一手に引き受ける経営的視線、その双方が必要不可欠だった。
その視点をクライアントと共有し、幾つかの会社を横断した経験を条件に求め、当候補者との出会いになった。ただ特色のある当候補者が、WEBのサービスをどう社内で担うか、クライアントの不安が拭いきれていないという課題が残されていた。
その点は率直に当候補者と何度も話し合い、摺り合わせに細心を期した。彼の意欲もありクライアントとの面談の際に、今後の印刷業界のWEBサービスを、具体的に提案して頂くことにした。
当候補者は印刷とWEBとの新しい融合の形を、50ページ以上の資料と共に提案。クライアントの疑念は一度の面談で解消され、両者に利益のある待遇でのオファーが、すぐに提示された。
現在、当候補者はWEBプロデューサーとして、新サービス立ち上げに注力。クライアントも印刷業と共に、WEB制作の看板を掲げ、新しいビジネスの開拓に向け舵を切りつつある。