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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第78回
2022.11.29

社長はなぜお金を使いたがるのか

すべての社長がそうとはいえませんが、一般的に社長はお金を使いたがる傾向があります。お金を使うというと経費を乱用しているかのように聞こえますが、そういうレベルの話ではありません。ここでは事業投資や資金運用などの正当な出費のことを指します。これらは会社を発展させるために行う投資的な性格のものです。それに付随して経費も計上されるでしょうが、それは二次的なものでありメインファクターではありません。


先日、コラムの「創業社長とサラリーマン社長」でも指摘しましたが、パワフルな創業社長と、バランスに優れたサラリーマン社長では、お金の使い方にも性格の違いが現れます。とはいいながら、いずれの社長もお金を使いたがる姿勢は共通しています。


例えば宝くじで3億円当たったとしましょう。そこでどうするか聞いてみると、一般的なサラリーマンは住宅ローンを完済する、とりあえず定期預金にするなどと答えます。ところが社長たちに同じ質問をすると、その3億円を事業に投入する、あるいは新規事業を立ち上げる、そうした発想の答えが返ってきます。つまり「守るよりも増やす」という攻撃的な姿勢を取る方が多いのです。これは持ち金が余っているからというわけではなく、そういう性格が最初からあるのです。日常的なシーンでも、そうした特徴が出てくるのではないでしょうか。
・自社のためになる使い道がある
・設備や施設を更新する
・従業員に寄与できる
特に創業社長タイプはポジティブな発想がひらめくと深く考えずにその場で導入や購入を決断してしまいます。お金が減ることよりも、そこでもたらされるリターンに目が向くのです。場合によっては側近が目を配ってあげないと危険です。社長のそばには優秀な経理や冷静な参謀などを置いておくことが重要です。金使いも人使いもそうですが、ワンマンの独善的な判断はギャンブルに近いものがあります。とてつもない成果を出すこともありますが、リスクやマイナスも多いのです。したがって社長に耳の痛いことを言えるナンバー2や各分野のスペシャリストが近くにいるべきでしょう。


読者のみなさまは、もしも社長の行動に心当たりがあるようであれば、疎んじられることがあったとしても、言うべきことは言わねばなりません。会社のことを思えば行き過ぎた出費にブレーキをかけ、冷静に立ち止まって協議できるような側近にならなくてはなりません。


余談ですが、社長がお金を使いたがる性格を違う観点から利用することもできます。B to BでもB to Cでも相手方の社長に直接会える人は、ボトムアップより有利なトップダウンに活用するのです。正規の手順を踏んで部門の担当者に商品やサービスを認知してもらい、上司や役員の承諾を得て、社長に上げてもらうという手順は、営業としては効率が悪くて仕方ありません。冗談半分で提案しますが、社長という「お金を使いたい人」に直接アプローチできるなら、側近という「お金を使うのに慎重な人」をスルーする側近はずしを画策してみてはいかがでしょう。もちろん社長の心の琴線に触れるような演出や環境づくりは必要ですが、お金を使いたい人に即決してもらうのが最も近道だと思います。考えてみれば社長だけでなく政治家や有識者なども同じことです。生きた人脈があれば、それを利用しない手はありません。


ということで「社長はなぜお金を使いたがるのか」という疑問に答えるとするならば、社長はお金を現状維持で溜め込むのではなく、増やさなければならないという使命感を持っているからです。その志には頭が下がります。私たちも社長の爪の垢を煎じて飲む気概が求められているのかもしれません。ただし、お金は有効に使いましょう。


以上