転職希望者 採用応募 企業担当者様 お問合わせ
  • 転職希望者採用応募
  • 企業担当者様お問い合わせ

社 長 コ ラ ムCOLUMN

第63回
2022.03.07

経営者をめざすビジネスパーソンへ(前編)

私どもTESCOは上級管理職のサーチをボリュームゾーンとして手掛けさせていただいております。そのなかでは事業再生や後継問題を担う社長など、経営トップのサーチも恒常的に経験しています。これらは必ずしもビジネスパーソンすべてになじみのあるものではありません。こうした案件を取り扱っていると「今のところ社長に就任する気はないが、いつかは社長をやってみたい」という、良い意味での野心を持ってキャリアアップに貪欲な方とも接触する機会があります。


このコラムをお読みのみなさまのなかにも、いずれ社長をめざしたいとお思いの方がいらっしゃることでしょう。そこで、社長をめざすためにどういう準備すればよいのか、どのようなキャリアの蓄積が必要なのかといった点にスポットを当ててお話ししてみたいと思います。まずハード面として、必要とされるスキルやキャリアはどういうものか、具体的に5項目を挙げてみます。
(1)
現在の仕事において、同僚と相対的に比較し、150%~200%程度の高い業績を挙げ続けていること。
(2)
これまでのコラムでも断片的に触れてきましたが、同僚、先輩、部下などが嫌がる「火中の栗を拾う」、「泥水をすする」を実践し、皆が敬遠したがる難関に位置している部署にチャンスがあれば自ら積極的に関わり、最低限の業績を維持していること。
(3)
自分のコアキャリアとなる部分、これは経験してきた職種でよいと思いますが、その地位でナンバーワンのパフォーマンスを挙げていること。これは営業でも管理でも可。
(4)
上記に挙げたコアキャリアに加えて、セールスアカウンティング、ヒューマンリソース、この3点においては業務経験がなくても、よく学び、研鑽を深めておくこと。
(5)
計数(数字)に強いこと。


以上、ハード面といえるかどうかわかりませんが、スキルとキャリアの観点から5項目を挙げさせていただきました。これに勝るとも劣らないほど、実はソフト面が需要なのですが、それは次回のコラムで取り上げたいと思います。ハード面については、まず所属している企業、ここは相対評価にも絶対評価にもなると思います。企業の業種や規模で評価に影響が及ぶこともありますので、その点は注意が必要です。


上に挙げた(1)(2)の属性に不平不満を言わずに近づける人物というのは、組織にあってかなりのハイパフォーマーであることは想像がつきます。現在所属している組織で、自分から積極的にPRしなくても「あの人はできる」という評価をすでに獲得する実力をお持ちのことがほとんどだと思います。年収の何倍かの働きが出来ているということは、経営陣への登竜門の一丁目一番地です。


経営トップになるには、会社の規模に関わらず、いろいろなバランス感覚や、優秀な人材を活かす手腕が重要ですが、適材適所にうまくはまらず、くすぶってしまっている人への配慮、そういう視線も重要なファクターになります。そうしたバランス感覚を養い、広い視野を持つために、自ら冷や飯食いをしながら良い意味でのサラリーマン資質を育てるのも必要なことだと思います。


(3)と(4)で挙げたスキルの部分は、現在のトレンドでもあります。古今東西、「売る」という営業のスキルは会社の根幹を為しています。いかにシステムやマーケティングが発達しても、売ることが大きな旗になります。である以上、営業的センスが全くないということになると、トップには縁遠くなってしまいます。また、最近のトレンドを見ると、やはりHR(Human Resource)すなわち人的資源の活用が重要視されています。海外を見てもHRは日進月歩の最たるもので、これに対する理解は経営者に不可欠です。


そして(5)にあるように計数、お金まわりに弱いということになると致命傷になりかねません。むかしは金銭的なことは誰かに任せても通用しましたが、今の社長は会社で動いている数字に敏感で、よく理解できていることが必須条件になっています。この部分に苦手意識を持たないことが大切だと思います。

このハード面の部分で「おや?」と思われるかもしれませんが、ここではITやマーケティングに触れていません。これは重要ではないということではありません。専門家を間近なところに置いて必要な意見を聞き、権限委譲し、専門分野を専門家に委ねて代替することができれば、必ずしも自分がスペシャリストである必要はないという意味です。社長をめざすビジネスパーソンにとって必要な要素、ここではハード面と言っておきますが、以上のようなものが挙げられると思います。ソフト面については次回コラムでお話しします。


(中編に続く)