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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第64回
2022.03.16

経営者をめざすビジネスパーソンへ(中編)

経営者をめざすビジネスパーソンへ(中編)


前編では経営者をめざす方のために、ハード面としてキャリアやスキルについてお話ししました。中編と後編ではそれと同じくらい重要な「内面的な部分」にスポットを当て、ソフト面として言及してみたいと思います。ここにはハード面と重複する要素もありますが、それだけ大事なものを含んでいるとご理解ください。


さて、経営者をめざすビジネスパーソンが優秀な成績を挙げ、スキルをみがくことに熱心なことは重要ですが、みなさまもご承知のとおり、人格的な部分が欠落していては組織のトップに立つことはできません。余談ですが、私どもTESCOはホワイトカラーという表現をあまり用いません。約40年前に、経営者をめざす人材のために「ゴールドカラー」というキャッチコピーを作り、人物的な属性を挙げて著書にまとめたことがあります。ここには時間を経てもあまり変わらない部分があります。人格という要素には今も昔も普遍的なところがあるのかなと考えています。


では、経営者をめざす方々にお伝えしたいソフト面のポイントを、ここでも具体的に5点に絞って挙げてみましょう。
(1)
人の嫌がることを進んでやる
(2)
心身の健康状態を常に維持する
(3)
他人の幸せを喜び、不幸を悲しむ
(4)
仕事以外の趣味をひとつ持ち、そこでアマチュアのトップレベルになる
(5)
部下の面倒をよく見る


少々エッジの利いた表現をしてしまいましたが、わかりやすく、突っ込んだ内容につながるのでお許しください。では、順に補足しましょう。

(1)の「人が嫌がることを進んでやる」というのは、ハード面の要素とダブりますが、トップというのは常に道のない道を進まなければなりません。危険を察知し、嵐を避け、安全に目的地をめざします。しかし時にはリスクを取り、荒天の場所を抜けなければいけないし、遠回りしなければならないかもしれません。そして常に「すべての責任を負う」という特殊なメンタルを持たなければなりません。やりたい仕事、好きな仕事で実績を上げるのは素晴らしいことですが、そうした一般的な努力だけでなく、いろいろな面で人の何倍も苦労を経験しておかなければなりません。ですから社長をめざすなら、若いときから苦難を進んで買って出るという気構えが重要になると思います。「若い頃の苦労は買ってでもせよ」という教訓がありますが、まさにそこが人の何倍も働くということなのかもしれません。自分の抱えた案件をこなした後で、人の嫌がる問題にも献身的に時間を投入できるということは素晴らしいことだと思います。


(2)の「心身の健康状態を常に維持する」というのはあたりまえのことなのですが、これができずに、どれだけ多くの方が社長のイスを目前にしながらサーチの対象から外れていったかを私は数多く見てきました。このコラムをご覧になってモチベーションを感じていただいている方は、おそらく30代から50代くらいの方が多いのではないかと思います。まだ大病を患う等の経験もなく、正直なところ健康を維持する努力というものが自分の実感になじまない方も多いでしょう。しかし、経営者のサーチにおいて、健康以外の部分ですべての要件を満たしながら、健康問題で対象から外れていく人は本当に多いのです。気をつけていてもどうしようもない病気になった場合は仕方ないとしても、健康維持には日頃からできるかぎりの労力と注意を払うことが大切です。企業によっては、たとえ優秀な人材でも「生活習慣病のある人物」を社長候補から外すことがあります。これは体形のことだけではなく、自己管理不足と見られ、大きなマイナスポイントになるからです。心当たりがある方は、社長のイスが近づくまえに、治療や体質改善に万全を期しておくとよいでしょう。


(後編に続く)