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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第62回
2022.02.08

採用調査に必要な書類

以前、このコラムでレファレンスチェックの解説をしたことがあります。今回は独特なノウハウを持っている専門家による採用調査の現場についてご紹介してみたいと思います。レファレンスチェックは採用候補者が指名した前職の上司や同僚などにインタビューし、その働きぶりや性格などを確認するものでした。候補者が指名する調査ですから、ある意味で評価はゆるいものになる傾向があります。その一方で採用調査となると、かなりセンシティブなものがあり、ほとんどの人はその現場を見ることはないだろうと思われます。


採用調査が実施されるタイミングとしては、オファー前、オファー後、面接後の3パターンがあります。面接後に行われる調査は柔らかい印象ですが、オファー前後に行われる調査はシビアなものになる傾向があります。


採用調査の代表的なものに前職調査があります。日本は先進国のなかでも雇用問題に対して意識は高いほうだと思います。しかし、採用調査の際にひっそりと行われている前職調査については、あまりオープンに議論されません。人々の目に触れないところで秘密裏に進められることが多いからです。前職調査は、採用候補者が在籍していた勤務先に問い合わせ、在籍期間や勤怠状況などを確認するものです。具体的には以下のような内容です。
(1)前職に在籍していた事実の有無および在籍期間に虚偽はないかどうか。
(2)前職での人事評価や働きぶりはどうか。
(3)前職における給与体系はどうか。
これらの調査は法令上無断でできず、詳細な情報が必要なら候補者からの委任状や調査同意書が必要になります。このような手続きについても私たちTESCOはご相談に応じます。


採用調査、なかでも前職調査は、本当の目的が「良い人材を選ぶため」というよりも、候補者の犯歴などを調べ、窃盗、横領、暴力、性犯罪などがないか確認し、職場の環境や安全を確保するためのものになっていることが多いようです。いわゆる社会的信用を計るための手段です。むかしは転職を繰り返して失業給付金を略取する者がいるなど、油断できない状況がありました。そうした犯罪を防ぐことや、反社会的勢力を排除するために、前職調査が行われるのは致し方ないことだと考えます。ただし今は人権遵守が最優先されているため、本人の承諾がないと徹底的な調査は難しくなっています。


採用調査における前職調査は、面接で聞き逃した情報を掘り起こすのではなく、候補者から提出された情報や資料をもとに、その真偽を確認したり、一部関係者からコメントを収集したりするものです。候補者から詳細を記載した経歴書を入手しているはずですから、前職の関係者に協力を得たり、第三者機関に証明書などの申請をしたりする場合は、採用候補者からの委任状や調査同意書が必要になります。

ご存知の方も多いでしょうが、前職調査が違法になるケースがあります。身分、出身地、思想信条、宗教に関する調査は人権への配慮から一発で違法になります。最近はLGBTの調査も同様です。実はTESCOもこれらの調査を行うノウハウを持っていて、よく相談されるのですが、法令は遵守しなくてはなりません。以前は消費者金融の借り入れ状況をチェックするケースもよく見かけました。もちろん現在は禁止になっています。ただ興信所にとっては難易度の高くない調査であるため、非合法ではありながら、興信所が調査を実施しているという事情が残念ながらあるようです。


ある警備会社で、従業員がみずからの消費者金融情報のチェックを行い、会社に結果を開示するよう求めたことがあります。なぜかというと警備員は破産から復権までの間、民法の規定により業務に着くことができず、これも人権に抵触するのではないかという指摘があったからです。そして今は自己申告ということになっています。


このように採用調査の前職調査は目的や手法によって違法となることがあるので、法令に詳しい専門家に相談することをおすすめします。もちろん私どもTESCOもお引き受けいたします。