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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第43回
2020.11.12

地方企業が直面する後継者問題

私たちがビジネスやトレンドを語るとき、どうしても東京に視線が向きがちですが、地方にも優れた技術、ユニークな商品、卓越したサービスを持った企業がたくさんあることを忘れてはいけないと思います。東京エグゼクティブ・サーチは設立以来45年余の長きにわたり、地方企業の人材についても注力してきました。昨年の売上構成を見ても約30%が地方のお客様でした。したがって地方の事情には詳しいと自負しています。
 
最近、政府や官公庁を中心として「地方創生」が叫ばれていますが、地方にもまだまだポテンシャルはあると思います。ところが実際のところ地方では70%近い会社で後継者がいないという現実があります。私たちが地方企業の経営者と面談したり相談をお受けしたりするとき、企業の後継者問題がメイントピックになることが多いのも当然のことといえるでしょう。
 
私たち東京エグゼクティブ・サーチは人材紹介業務を取り扱う人材コンサルタント会社です。クライアントに後継者がいないのであれば、その育成または発掘が急務です。人材を探し、優秀な後継者候補をご紹介して、その企業に存続していただく。そこがサービスの基本的なバリューになります。しかしながら、私が内外に発信しているトピックとして取り組むべきものは、人材の調達、発掘、育成よりもM&Aのほうが優先度は高いような気がしています。これについては次回のコラムで言及したいと思います。
 
さて人材紹介業務で後継者候補を見つけてきた場合、そこにはメリットとデメリットがあります。メリットとしては、現在の優秀な経営者がイメージしていたとおりの後継者とめぐりあうことで、その企業の存続と発展に大きく一歩を踏み出すチャンスが生まれます。その一方でデメリットも考えなくてはなりません。というのも地方企業は多くの場合オーナー経営者が陣頭指揮を取り、非上場の同族経営で続けていることが多く、それゆえにワンマン経営者と後継人事のもつれでお家騒動のようなことになる可能性があるのです。
 
要は外様の経営者候補を連れてきても、その人物がうまく育つか、結果を出せるかはわかりません。生え抜きの役員や長く勤めている社員と波長が合わないこともあり得ます。外様の経営者候補を入れて、はっきりと使えるか使えないか目途がつくには3年くらいかかります。それだけの時間をかけて順調にいかなければ損失が積み上がることになり、経営にとって大きなリスクになります。現在の経営者が高齢であればあるほど、時間的猶予を持ち合わせていないことになると思います。
 
こうして考えてくると地方企業が直面する後継者問題の解決法にM&Aが大きなトピックとして浮上してきます。経営課題と後継者問題をまとめて解決できるM&Aは地方企業の経営者にとって朗報となることでしょう。この話題は次回に。