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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第44回
2020.11.26

後継者問題をM&Aで解決する

前回に続いて後継者問題を考えます。経営者が高齢化し、時間をかけて後継者を育てる余裕がなくなってくると、他の手段を模索しなければなりません。そうなると解決法のひとつとしてM&Aが大きなトピックとして浮上します。
 
M&Aのメリットは、経営と後継の問題をパッケージで解決できる可能性があることです。会社の売り手と買い手が見つかればすぐに売却でき、売却する側は現在の企業資産を円滑に現金化できることになります。売却先がもし大企業であれば、その経営資源を使って会社が一気に発展することもありえます。すなわちM&Aは後継者候補を見つけるだけでなく、経営課題を解決する絶好の機会になるのです。
 
ただしデメリットもあります。地方の中小企業は多くが創業家による一族経営で、その地域で歴史と伝統を持っていることを誇りにしています。M&Aを選択することで一族色が薄まることになり、実利を超えた寂しさや敗北感のようなものを感じることがあるようです。それが以降のモチベーション低下につながることも考えられるので、この点は注意したいところです。
 
とはいっても現在、経営の先頭に立っている若い世代は、すでに歴史や伝統にこだわることなく、ドライにM&Aで実利を取ろうとする人が増えているように思います。私は経験上、後継者問題はM&Aで解決するのがトレンドになってきていると感じています。
 
私たち東京エグゼクティブ・サーチのような人材紹介会社から見たとき「後継者問題は人材を調達して入れ替えることで解決しましょう」と考える傾向があります。しかし人材を調達、発掘、育成するといった旧来の方法では、お客様の期待に応えることができない状況になりつつあります。ですから私たちはお客様にご満足いただけるよう業務体制の整備を急いでいるところです。私たちが取り組みを進めているのは、人材紹介会社でありながらコンサルティングを実施し、M&Aのソリューションを提供できる頭脳集団です。
 
逆から見ると、これからはM&Aコンサルティング会社が人材コンサルティング業界に参入してくるケースもあるのではないでしょうか。またM&Aを手掛けている方々と、私たちのようなクラシカルなエグゼクティブファームが、M&Aコンサルのアライアンスや業務提携でご一緒するような形も出てくるのではないでしょうか。
 
日本では人口減少でどのような商品やサービスも縮小傾向にあります。縮小経済のもとでは人々の金銭的または精神的な余裕がなくなります。今までは自社のサービスをそのまま提案や営業をするのが一般的でしたが、今後はニーズが顕在しているか潜在しているかにかかわらず、クライアントに商品やサービスをいろいろな方法で提案していかなければならなくなるでしょう。M&Aで後継者問題を解決しようとするのも同じようなスタンスに立つものです。今後はあらゆる手段を効率的に活用するのが経営者の手腕になってきます。人材紹介会社は人材を発掘するだけでなく、本質的にはM&Aの手法で後継者問題を解決するというような、高い付加価値を求められるということを実感しています。