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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第29回
2019.09.05

採用活動もスピード感が大事

私が採用関連のコンサルティングをお引き受けする際に、顧問先に遵守してもらっていることがあります。それは「みなさん必ずこのスピード感で採用活動をしてくださいね」というたった2つの項目です。
 
1.書類選考の合否は何があろうと1日以内に伝えること
2.面接を実施したら数時間以内にフィードバックすること
 
遵守していただくのは、たったのこれだけ。しかし簡単に見えるようで、これができている会社はほとんどありません。この2つの項目を守るだけで会社の印象は大きく変わります。これは会社というよりは人事の話と思われるかもしれませんが、実は会社全体にとって大切なことなのです。
 
仕事ができる人は仕事が早いといわれます。個人でも法人でも同じです。早いと仕事が雑なのではないか、と疑念を抱くこともありますが、不思議なことに「できる人はみな早い」ということがいえると思います。採用も同じです。
 
典型的にだめな会社というのは、書類選考に2週間かかるとか、面接してもうんともすんとも言ってこないとか、対応の遅い会社です。こういう会社でまともな人が採れている例はありません。
 
ですから人事担当者は、どのようなシステムやオペレーションを考えればすぐにエージェントや求職者に書類選考の合否が伝達できるか、そして面接が行われたら数時間以内にフィードバックを取りまとめて迅速に伝達できるか、そこを逆算して考えていけばよいと思います。
 
これは「鉄は熱いうちに打て」の典型だと思います。「熱いうちに」には若い頃から鍛えるという意味だけでなく、関係者の熱意があるうちに事を運ばないと相手にされなくなるという意味があります。採用については後者の意味合いになると思います。
 
私たち東京エグゼクティブ・サーチのようなサーチ会社ではなく、一般的な人材紹介会社を前提に考えますと、書類選考や面接のフィードバックのイエス・ノーが早いということは、エージェントをそれだけやる気にさせてくれます。すぐに白黒はっきりするということは紹介がしやすいからです。求職者にも「スピーディーな判断が期待できる」と自信を持って伝えられるので、エージェントもその会社に好意的になります。
 
ということで、このパターンとスピード感でオペレーションを回すことができれば、優先的に良い人材が回されてくることが期待できます。迅速な対応は公募採用だけでなくエージェントを介しているときにも効果的といえます。
 
仕事ができる人事部長や人事担当者は物事を処理するスピードが非常に早い。たとえば現場担当者が面接し、人事がそのフィードバックを得てから合否の伝達をするという場合でも、できる人事には交渉力も人間力もあるので、現場がすぐフィードバックを伝えるような、そういう癖がついています。結果的に合否の連絡が早く来ることになります。
 
フィードバックが遅いということは、人事が現場から認知されていない、頼りにされていないので遅くなるわけです。ただの伝書鳩で右往左往しているだけ。この辺がスピード感に思い切り出てきます。私たちから見ると、いてもいなくても一緒という風に見えてしまいます。こういう人事は仕事ができない典型です。
 
レスポンスでNOが早いのもマナーとして素晴らしいと思いますが、この求職者いいですね、という場合にレスポンスが早いのも大事です。多くの場合、面接は1回で終わらないので、フィードバックが早いということは、最終段階において求職者の心証をよくするため好循環になりやすいのです。私はコンサルティングをするときに「採用でどこから手をつけてよいか分からない」という会社には、まず早く判断する癖をつけてくださいとお伝えします。分からないことはこれから何でもレクチャーしますから、とにかく早く判断する癖をつけてほしいと。ここから手をつけるように指導させていただいております。これをご覧になっているみなさんも心当たりがあるのではないでしょうか。振り返っていただくと合否の判断が早かった会社は、企業イメージ全体もおそらく良い印象が残っていると思います。
 
極端な表現かもしれませんが、求職者のアプローチに対してうんともすんともいわない会社は、自分から辞退してしまったほうがよいと思います。対応が遅い会社はろくでもない会社が多いからです。採用以外でもお客様窓口などの対応が悪い会社があります。大企業の傲慢などが原因ですが、遅いことの弊害は共通しています。サービスのよい会社は良い内容でも悪い内容でも、とにかくレスポンスが早いものです。求職者の立場であればレスポンスの早さで企業の実態を推し量るということもおすすめできると思います。