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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第52回
2021.08.19

コロナ禍におけるリーダー層の転職

新型コロナウイルス感染症はまだまだ収束の気配を見せません。今回はこのような状況下で求職者の立場から見る「ウィズコロナの転職ポイント」についてお話ししたいと思います。この種の話題は、この1年間、いろいろなメディアで報じられているので、あまり巷に出ていない観点を取り上げたいと思います。
最近、私たちが転職候補者の方々に接触して感じるのは、やや保守的になっている方が多いということです。いま活発に動いている方は、現在の勤務先が経営不振で、やむなく転職を考えている方、それからコロナ禍における生活環境、家族環境の変化に伴い、環境を変えたいという方が多いようです。現状に不満のない方ほど保守的で、いま動くことの不透明感をリスクと捉えています。優秀でマーケットバリューが高い人材というのは、現在のような状況においてもパフォーマンスは高いので、そうした人材が市場に出る流動性が下がり、争奪戦になっているということも関係しているかもしれません。
ここで求職者の方々にアドバイスしたいことですが、企業はみなさまが思っていらっしゃるより平常状態で動いているということです。例えば、先日接触した外資系IT企業の求職者は、この1年間1度も出社していないとのことでした。実はそういう事例は珍しくないのです。テレワークが進み、社員の会社への帰属意識もなくなってしまっています。が、人々が思っているより、企業は安定的に業務を展開しています。順調な企業の見極めのコツとしては、採用の募集が積極的に行われているかどうか見ることです。赤字で業績不振の会社は採用をしませんから、いまの見極め方としては「活発な採用をしている会社はある程度経営状態が健全である」と見てよいと思います。


テレワークの状況下であっても、企業が人を迎え入れ、新しいスタートのノウハウや環境を整備しているからこそ積極的な募集をするわけです。こうしたケースにおいては、あまり保守的になる必要はないと考えます。裏を読みすぎると、かえって判断を誤るかもしれません。二極化が進んでいるとき、採用できない会社はおとなしくしています。いま活発な募集をしている企業は堅調であると考えてよいと思います。
キャリアアップや環境改善を求めて転職を模索される経営幹部またはマネジメント層で入社される方へのアドバイスですが、そういう方はチームや部下を率いることを期待されているはずです。その場合、コミュニケーションの取り方がウィズコロナで難しい状況にあります。テレワークが推進されている会社ほどフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが総体的に減っているからです。幹部の募集をして、実際入社しても、チームのメンバーとのコミュニケーションに制限が掛かっていて、初顔合わせが数か月後になるようなケースも珍しくありません。
すこし乱暴なアドバイスですが、リーダーやマネジメント層で転職する方は、採用された企業のトップやキーマンに対して、自分から「リアルなコミュニケーションを取らせてもらいたい」とアピールすることです。要は自分からテレワークに引きこもらないことが重要なのです。自分はメンバーと直接的なコミュニケーションを取りたいのだ!というメッセージを発信するべきです。


自分から在宅勤務やテレワークの環境におさまろうとするリーダーは、どうしてもマイナスに見られがちです。積極性がないという固定観念は、コロナ収束後、一緒に仕事をするチームのメンバーからは良くない印象で受け止められるでしょう。ですから意図的にメンバーとの距離を近づけるようなコミュニケーションを取りたいという姿勢を見せることが大事になってきます。
コロナ禍で制限が掛かるが、どこまで自由にできるのか。このあたりの不安感があって、いま動かない人も多いようです。上司として高いパフォーマンスを出さなければいけないのに、どこまでできるかわからないから、せっかくよいポストがありながら、自分からチャンスを逸している人もいます。しかし企業のトップが採用しているということは、そういう意味合いを含めて「できる」と思っているから迎えているわけです。そこはあまり臆病にならないほうがよいと思います。


こうおっしゃる方もいらっしゃいます。「リーダーこそテレワークを率先して取り入れ、模範になるべきではないか」と。しかしもう1年半も経ちました。私はリーダーだけがオフィスにぽつんと出てきているのも悪くないと思います。なぜそんなことを言うかといえば、経営者にはいまだにテレワークを100%信任していない人が多いからです。テレワークで9時から18時まで自宅のベッドやソファに横にならずに仕事をやりきっている人が何パーセントいるか、懐疑的な見方をしている人が多いのです。しかしテレワークを批判して、それ以上にネガティブな反論を受け取ることを警戒し、言葉を選んでいるだけで、テレワークというものは何割かパフォーマンスを落とすものだと捉えています。ですから経営層、中間層のリーダーはメンバーとコミュニケーションが取りやすいようにあえて単独で出社して、メンバーの視線を受け止められるような場に身を置くことです。自分を演出するとか、メッセージを出してみるとか、この時期に幹部層で転職する人にとっては、それも必要なスキルだと思います。