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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第69回
2022.05.27

オファーレター(雇用条件提示書)について考える

転職活動をして内定を取り、いよいよ新しい会社に移るというタイミングで、会社からオファーレター(雇用条件提示書)を受け取った経験のある方もいらっしゃると思います。オファーレターはもともと外資系企業が発行してきた書面ですが、最近はわが国でも雇用条件の提示が厳密に求められるようになり、雇用条件提示書として目にすることが増えてきました。欧米では古くから活用されている書面で、会社として候補者や求職者の雇用条件を文書化し、雇用契約に結びつけようとする書面です。


オファーレターは転職活動の最終段階で発行されるものですから、おおむね良いイメージのものです。ネガティブな意味で発行されることはなく、候補者や求職者が条件を受け入れるかどうかは別にして、希望、充実感、達成感などにつながるものといえるでしょう。これまでオファーレターを一度も見たことがないという方もいらっしゃるでしょうから、ここでは簡単な説明と注意点に触れておきたいと思います。


そもそもオファーレターは企業が中途採用などで候補者や求職者を選考し、「ぜひこの方に入社してほしい」となったときに、その方をお迎えする条件を記載して発行する書面です。そしてオファーレターは郵送で届けるのが基本とされています。流れとしては、自宅で受け取り、書かれている内容で合意する場合は一定期間中にサインして返送、それが企業に届いて初めてオファーを受諾したということになります。このプロセスのなかでは「自宅に送る」ということがポイントで、これが候補者の居住地証明の確認になります。


主な内容としては、「この条件で来てほしい」という提示が記載されています。外資系企業の場合、極端に言うと候補者が同意するかしないかは度外視し、条件はこれ!という確定的な内容でオファーレターを送ってきます。ところが日本企業に目を向けてみると、いくらか異なっています。外資系と何が違うかというと、日本企業はオファーレター発行前に、確実に受けてくれる条件で、年収、待遇、入社日などについて合意形成し、それを文書化しようとする傾向があります。オファーレターを発行したときに断られる可能性がある場合、または不透明な場合は、書面に落とさないのです。これには特段大きな意味はないと思いますが、日本人の国民性で自然にそうなったのかもしれません。根回しの習慣や印鑑文化の影響もあるでしょう。確実に通らない案件に書類を作成して上司に印鑑をもらう昔ながらの商習慣も避けたいところです。こう見てくると日本と欧米の文化の違いが感じられます。ここがオファーレターに関する注意点です。日本では最近の新興企業でも同様の慣習が根強くあります。すなわち日本でオファーレターが発行されたら、入社することが確実に期待されているのです。外資系に勤めている方が初めて日本で転職する際など、複数の企業からオファーレターを受け取りがちですが、それを比較検討することは、日本ではよしとされないことを覚えておきましょう。これが日本企業との交渉の注意点になります。


本来は外資系のように、オファーレターが発行され、自宅に届き、それから条件を検討するのが正しい姿だと思います。複数の企業から提示された条件を比較することで候補者や求職者の側がキャスティングボートを持つことになるからです。企業が上から目線で「来てくれるのならオファーレターを出します」というような日本式には首を傾げざるを得ません。読者のみなさまも、これからオファーレターを受け取るような機会がありましたら、参考にしていただきたいと思います。


以上