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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第48回
2021.05.13

現地で見る「地方」の惨状

この数か月、私は地方にある顧客基盤の訪問活動に取り組んでいます。もともと親しくお付き合いをいただいている経営者や幹部社員と久しぶりにお話しすると、東京では見えない地方の実情がいろいろ見えてくるような気がしました。弊社にとって地方創生は大きなテーマですが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、しばらく地方訪問を控えざるを得ませんでした。最近になってようやく心置きなく動くことができるようになり、先日は九州を巡回してきました。各地で経営者のお話を伺うと、それぞれ驚くほど打撃を受けていることがわかりました。
特に印象的だったのは宮崎県庁所在地である宮崎市の中心地でした。その歓楽街の様子が以前とは一変していたのです。私の感じるところでは約2割の飲食店が廃業してしまったという様相でした。これは非常に大きな出来事だと思います。
九州を巡回した私の主観ですが、まちから活気が失われているにもかかわらず、地元企業や金融機関に危機感が足りないと感じました。このコラムでもよく触れますが、あとどれくらいの期間、コロナ禍が長引くのか、打撃を受けるのか、目途が立ちません。そのせいか厳しい状況に置かれていながら、それに慣れてしまっている感があります。これには違和感を覚えました。もちろん、そのようななかで大変な危機感を持って努力されている企業もあります。しかし、それは少数派のようです。
特に私が首を傾げたのは、地域をリードするべき公的機関の危機意識の低さです。具体的なアイデアやエネルギーを絞り出して苦心している首都圏の方々に比べると、著しく危機感が感じられなかった、と言わざるを得ません。もしかしたらコロナ騒動のまえから地方経済は壊滅的で、地域を担う方々が自信を喪失してしまっているのかと危惧しています。コロナ禍では首都圏も大変な思いをしていますが、地方はそれに輪をかけて深刻な状況になっているところが多いようです。
考えてみると、人の往来が途絶えたことによって、ごくせまいコミュニティの中だけで仕事や生活をせざるを得ない状況がありました。そのせいで、その地域だけのコミュニティが出来上がってしまったのかもしれません。それにより危機感を飛躍のバネにするチャンスを逸してしまったと考えることもできます。地方がこのような状況においては、新しい風を吹き込む人材を提供するエグゼクティブサーチの役割も重要になると考えています。
九州では観光業や飲食業の不振はもちろんのこと、県によっては大手製造業の減産等にも影響を受けています。製造業の工場は本社の製造計画に応じて業績に差が出ており、すでに減産に努めているメーカーもあると聞きます。今後、そうした企業の関連会社や下請けを含めて相当のダメージを受けるはずです。一方で減産等のあおりを受けずに済んだ工場はまだ余裕がありますが、逆に危機感を持てず後手に回ることが心配です。そして、それらを克服するアイデアが地方には乏しいと感じています。
こうして地方経済の動きを現地で実際に眺めてみると、主体的に何かをコントロールしているというよりは、いま起きている現象に比例するかたちで事態の収拾に追われているのが実状のようです。私はこれから始まる各企業の年度末決算を大いに心配しています。これから中国、四国、東北地方を巡回し、地方の新しい情報を収集してきたいと思っています。