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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第13回
2017.05.15

年収アップをめざす転職でやってはいけないこと

前回の復習になりますが、年収を上げようと思った人が最初にやるべきことは高収入を求めて転職することではなく、いま所属している会社で目の前の仕事をこなし、目標100%を上回る120%の実績を積み上げることだ、というお話をしました。今回は、それでも転職を選択することになった場合に注意したいことをお伝えしておきたいと思います。

年収を上げたい人が、絶対にやってはいけないこと。それは「やりたい仕事」を求めて転職し、これまで「やったことのない仕事」をしようとすることです。人は年収を上げるために新しい仕事に手を出し、これまでよりも高い評価を得ようと考えがちです。しかし、年収を上げるためには、実はこれまでやってきた仕事の延長線上にある仕事をすることが大事なのです。たとえその仕事が面白いものでなかったとしても、いままでその分野で経験と実績を積み上げてきたキャリアは、あなたの貴重な財産になっているはずです。それを生かして評価を得るほうが近道だということに気づくべきです。

私たち東京エグゼクティブ・サーチは国内外を問わず、多くのビジネスパーソンの転職を見守ってきました。そこでわかったことのひとつに、多くの日本人が「新しいことをやりたいから転職する」と考えている現実があります。逆に欧米のビジネスパーソンは転職に際しても「過去に自分がやってきた仕事の業績を評価してもらう」ことで高い報酬を確保しているのです。すなわち、いままでやってきたことを新しいところでもやって高く評価されているということです。

その点、日本人は「転職前と転職後で同じ仕事をするくらいなら、そもそも辞める必要がないのだから、転職などしない」という考え方になりがちです。そうなると転職先で新しい仕事に従事することで年収を上げようとします。しかし新しい分野ですぐに好成績が収められるほど世の中は甘くありません。だから年収が下がるのです。雇う側は「いままで上げてきた実績を今後も上げてほしい」と考えています。雇われる側は、その意図を理解しなければなりません。日本の場合は雇う側と雇われる側の意識に大きなギャップがあります。欧米では雇う側の意図に雇われる側の意識が合致しています。

いままでやってきた仕事の延長線上で実績をつくれる即戦力の社員と、これから新しい仕事をはじめようとする実力未知数の社員と、経営者はどちらを求めるでしょうか。特に中途採用は実力本位の世界です。人を雇えばそれだけコストが掛かるわけですから、それに見合った実績を上げてもらわなければなりません。すなわち今までやってきたことを、今やってもらうことが最も大事ということになるのです。これから転職しようとしている人には、この点を肝に銘じておいていただきたいと思います。