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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第99回
2024.03.08

一人当たりの採用単価を考える

ここでは一人当たりの採用単価について考えますが、いくらくらいが適正か、先に結論を申し上げておきましょう。企業が想定する一人当たりの採用単価は、その業種、規模、専門性などにもよりますが、おおむね100万円以下に抑えるべきだと考えています。そして新卒採用、中途入社などにかかわらず、一人当たりの採用単価がいくら掛かっているのかということを経営者や人事担当者はしっかり把握するべきです。戦略上の兼ね合いで一時的なものになるかもしれませんが、400万~500万円という費用を掛けて採用に重きを置く場合もあります。それはそれでよしとしますが、平均的な相場としては100万円以下が妥当な線と言えるのではないでしょうか。


人材紹介会社と契約してエージェントを多用すれば採用単価は上昇します。もちろん年収にもよりますが、おそらく若手の人材を正規雇用で採用するとして、100万円以下で収めるのは至難の業でしょう。低いとしても150万円ほどになると思います。人材エージェントを通すとそれなりに費用が掛かります。


そこで公募の実施ということになり、自社の努力による採用に取り組むわけですが、その際は広告を打つなどの手段をとることになります。1回の広告で思惑通りに採用が決まれば採用単価は下がってくると思います。しかし最近は業種によって人手不足が深刻で、何か月も高い広告を打ちながら、結局1人も採用できなかったということもあります。そうなると本意ではないけれども人材紹介会社に依頼し、何とか採用に漕ぎつけたという話をよく聞きます。広告費が全滅したわけですから浪費をしたような気分になりますが、致し方ないというところでしょうか。


採用単価を下げる(すべての企業がそのステージに立てるわけでもないのですが)には企業の魅力、優秀な人事担当者の育成と配置、一部リファーラル採用も取り込むなどの組み合わせが必要になります。規模の大きな会社、ブランド企業、ネームバリューがある会社、人気のある会社であれば世の原則で求人広告を出せば候補者が多く集まり、そこに優秀な人材が混在しているとは限らないものの、採用チャンスは確かに多くなります。私がデータを分析したところ、多くの人が「名前を聞いたことがある」「誰でも知っている」という会社の採用単価は45~60万円程度になりました。認知度が高ければ採用単価を下げることができるのです。


一方で人が定着せず、それでいて業績はまあまあで、望むか望まぬかにかかわらず人の補充が避けられない状況からなかなか抜け出せず、不効率な採用を強いられている採用担当者もいます。そこでは一人当たりの採用単価が300万円前後というケースもざらにあります。採用単価を掛け過ぎている会社というのは、おそらく社員が定着していないため、採用に費用を掛けざるを得なくなっているという事情があるように思います。すなわち胸を張って「良い会社」とは言えない何らかの事情があるのでしょう。


採用単価300万円は言うまでもなく掛け過ぎです。先述の100万円という数字が独り歩きすることに価値はないし、それが目的となる話でもないのですが、結果として100万円ほどに収まっているのには、離職率、会社の魅力、採用の実務上の努力、実績、センス、いろいろな要素がありますが、採用単価も会社を評価するひとつの指標として使えるのではないでしょうか。みなさまの会社の採用単価はどのくらいでしょうか。時には再確認してみる必要があると思います。