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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第96回
2024.01.10

伝統的大企業への転職で注意したいこと

昔から伝統的大企業は新卒一斉採用、いわゆるプロパー社員がほとんどでした。会社が直接採用した新卒社員を大事に育てる終身雇用制が当然だった時代です。ところが人材流動性が高まってきて、スタートアップやベンチャー企業、年齢でいうと30代から40代のビジネスマンが大手企業の独占に風穴を開けようという志を立てるようになりました。そして比較的規模の小さいクラシカルな企業から優秀な人材が輩出するようになりました。しかし、このパターンは昔にはなかったもので、先輩たちの実績例があまりないのが難点です。そのせいで経営者がまごついたり混乱したりするケースが多いので、今回はその点に触れてみようと思います。


第二新卒などの若手で入社する分には問題ないのですが、中間管理職で伝統的大企業に入る場合は少し注意を払わなければなりません。初めて大企業に中間管理職として入社する際、会社の仕組みや文化がわからない人に私は「入社したらあわてずに3か月程度は社内を見て、経営陣、上司、同僚などの様子を観察し、その会社になじんでから動くようにしましょう」と申し上げています。こういう会社に迎え入れられた場合、大きな期待をかけられているはずです。そのため迎え入れた側の大企業が焦りを見せ、急に進行中のプロジェクトを加速したいとか、新しいことをはじめたいとなることがあります。大企業側も転職した本人も気負い立ってすぐ動きたくなるのです。ですが大きい会社というのはいろいろなカルチャーとかメカニズムが新進企業とは大きく異なっています。


まず味方だけでなく敵が多いということがあります。その人のことを歓迎しない勢力がいる可能性があるのです。その勢力には会社がどうなろうとかまわない、自分さえよければよいという考えの人もいます。そして会社のお金は自分たちのお金だと理解していない人も多いのです。チャレンジで成功して実績を上げるより、失敗を警戒して何もしない人もいます。転職した人の身近にいる上司は1~2年で移動を繰り返す腰かけの人かもしれません。会社組織としての基本はどこも一緒なのですが、人員が大きくなっていることで利害関係の調整が難しくなっているのが特徴です。また、これまでは口頭で同意を得て朝令暮改でスピード感を持って動くことをよしとされたり、すぐに動くメリットを享受できたりしました。しかし大企業というのは「同意を取った」と思っている案件が「同意に値しない」と判断され、口頭での報告、連絡、相談はなかったものとされ、関係者全員が共有できるドキュメントとなっていなければならないとされる事例も多いようです。それが出来ていないと後になって独断専行と評価を受けてしまうことがあります。これらのようにスタートアップやベンチャーと違う要素が出てくることもあります。こうしたことを考えると、大企業には改善されるべき風習がまだまだ残っていることがわかります。ただし最近は採用だけが進歩的になっているケースもあり、それで私どもTESCOとご縁が生まれることがあります。


スタートアップやベンチャーから伝統的大企業に転職した人材が、そのギャップに直面し、自分は一生懸命やってもまわりが全然ついてこなくて、むしろ足を引っ張られる状態になり、モチベーションを喪失してしまうこともよくあります。実際にあったことですが、本人を誘って一本釣りしてくれた部長が実は社内で人望がなく、課長たちに馬鹿にされて1~2年で部署を移動している人物だったという話もあります。このような事例もあるので大企業に中途入社した方には「あわてずじっくり周囲を分析する慎重さ」が必要になると思います。広い視野で前後左右を観察することをおすすめします。