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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第92回
2023.10.18

リファーラル採用のタイミング

このところリファーラル採用が急速な広がりを見せています。リファーラルとは紹介、推薦、委託などを意味する言葉です。すなわちリファーラル採用は「企業が紹介等をもとにダイレクトに新たな人材を採用する手法」を指します。この場合、企業は人材エージェントを介さず、候補者に直接スカウティングを行います。これは人材流動性の高い欧米では一般的な採用手法です。このスタイルで人材を確保しようとするのは特にアメリカの企業に多いようです。また日本でも外資系IT企業の間では恒常的に行われている手法です。リファーラル採用については各社それぞれにいろいろな工夫が見られます。オーソドックスなものでは「新たに中途入社した社員に知り合いを紹介してもらい、優秀な人材を発掘する」という手法があります。


ここでは人材エージェントのプロフェッショナルという立場から、リファーラル採用の効果的なタイミングをひとつご紹介したいと思います。大事なのは「紹介してくれる社員にいつ声を掛けるか」です。これは「既存の社員にいつ協力のお願いをするか」と言い換えてもよいと思います。多くの企業でお見受けするのは中途入社直後に「優秀な人を紹介いただけないか」と声掛けするケースです。あたりまえといえばあたりまえのタイミングです。新しく入社したばかりで緊張感もあり、これからお世話になるので手みやげのひとつも渡したいと思って当然でしょう。中途入社の立場上、結果を出したい、実績を上げたいという気持ちがあります。そういう時に会社から紹介をお願いすれば確かに汲み取ってもらいやすいでしょう。


しかし新しい会社に希望を持って入社してきたところですから、会社に対して「過大評価」が発生しやすいタイミングでもあります。この時期に声を掛けて紹介してもらうとなると、新しく入社した方はオーバートークで人材を導こうとする傾向があります。すると「縁あってすばらしい会社に入ることができたので一緒にやりませんか」という誘い方になります。いつしか話に尾ひれがついてしまい、むしろリスクが高まる可能性があるので、これは留意しなければならないタイミングだと思います。ミスマッチの筆頭は意外なことにオーバートークなのです。アンダートークよりオーバートークのほうが厄介です。アンダートークは雇用条件と実際が違うなど問題外の会話になります。それに対して幹部社員の採用等で飛び出すのがオーバートークです。会社をよく見せようとオーバートークすることで後日失望を呼び、短期離職の可能性さえ出てくるので注意しなければなりません。


一方で入社から1年以上経った社員は、会社について酸いも甘いも実態を知り尽くしています。新しく入社した人物の情報もキャッチしていますから、情報の質量に比例してリスクが低くなります。社内をよく見渡したうえで厳選した情報をくれるということでは安心感があるかもしれません。リファーラル採用を進めるには、ある種のパワーというか推進力が必要となります。フレッシュな視点を失って落ち着きはじめている場合は採用数が伸びないという統計も出ています。入社1年以上経過したケースでリファーラル採用の実績を多く期待するのは、遅きに失しているのかもしれません。


私がリファーラル採用についてベストのタイミングと推奨するのは、入社6か月程度、フレッシュな視線を持ち、かつ現職にも慣れて「こういう人を誘えばこの会社に寄与するのではないか」という客観的な視点を持てる時期です。余談ですが私どもプロのエージェントは常に客観的な視点を保てるので、そこにバリューを感じていただき、ビジネスが成り立ちます。リファーラル採用では人がどんどん当事者になってしまい、時間が経てば経つほど、先ほど述べたような問題が出てきます。ですから「早過ぎず、遅過ぎず」でタイミングを意識して取り組まれることを推奨いたします。