転職希望者 採用応募 企業担当者様 お問合わせ
  • 転職希望者採用応募
  • 企業担当者様お問い合わせ

社 長 コ ラ ムCOLUMN

第86回
2023.05.25

雇う側の理屈を考えたことがありますか?

東京エグゼクティブ・サーチ株式会社(TESCO)ではヘッドハンティングの対象となるような人材を候補者(キャンディデイト)と呼んでいます。一般的な人材エージェントの場合は、候補者ではなく求職者と呼ぶことが多いと思います。ヘッドハンティングの個性にもよりますが、呼び方にニュアンスの違いがあります。企業から必要な人材として求められているのが候補者で、この人たちは転職を考えていないケースもあります。一方で転職を希望している人の場合、仕事を探しているので求職者となります。これからお話しするのは求職者を対象としたものです。


私たちのような人材コンサルタントが求職者と話すと、99%ご自分の一方的な要望が出てきます。逆に雇う側の立場でポイントを理解し、そこを汲み取ってお話しされる方は大変少ないのが実状です。例えば、読者のみなさまが営業課長だとすると、転職では部長や副部長のポジションにチャレンジされることになります。ではその面接の席で何を訴えて期待をつなぐべきでしょうか。面接では緊張するのか、質問にうまく答えられないことが多いようです。雇う側が何を考えていて、あなたに何を期待しているか、それが問題です。営業部長をめざすなら、売上を個人でなく組織でしっかり上げられることが必須です。これまでのキャリアの中でチームを率いて売上を追求するノウハウや経験を持っているか、同じような業界で活躍したことがあるか、そして実際はマネジメントの力量も必要になってきます。また部下、同僚、上司からの信頼や人間性の評価なども見られることになります。これまでどのくらいの事業規模の会社でどんな実績を挙げたか、その成果は直販か代理店経由か、商品はハードかソフトかコンサルティングか、企業として多くの知りたい点があるはずです。読者のみなさまが人を雇う側の社長だったら何を聞くか何をしたいか、と想像するとわかりやすくなると思います。


転職に際しては見られる要点があり、選ばれる理由があります。面接に出掛ける大多数の人は「年収はいくら欲しい」とか「がんばります」とか自分に都合のよい要望や解釈を優先し、大切なものが抜け落ちていることに気づきません。職務経歴書には雇う側の立場から見て重要なことをまとめ「自分は選ばれるべき人物である」ということをアピールしなければなりません。そこで忘れてならないことは、十分な準備をすることです。学生時代を思い起こすと、試験準備はおろそかだったけれども、試験当日は何とか問題に向き合った記憶があると思います。そういうスタンスだと一生懸命に試験に立ち向かった達成感はあるものの、準備不足で肝心の点数は伸び悩むことになります。準備は十分に整えておかねばなりません。


私の経験上、90%程度の人が「雇う側の立場で考える」という観点が足りません。求職者の側から雇用主に対して何らかの期待があるように、雇う側はもっと切実な期待を持っています。企業の本音は売上向上など企業にとって都合のよい人材を求めています。その期待値に呼応するアピールを準備しなければなりません。先回りして相手の立場でものを考えるのはビジネスエグゼクティブの登竜門だと言えるでしょう。読者のみなさまがもし転職されるときには、雇う側の理屈を考え抜いたアピールを準備し、自信を持って面接に臨んでいただきたいと思います。


以上