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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第84回
2023.03.17

採用できない企業のネガティブポイント ③ 「常に内定者がオーバースペックする」

採用にまつわるネガティブポイントの3点目は、内定者のオーバースペックです。過剰な能力を持った人材の内定は、必ずしも失敗とは言えません。人材評価が適切という面があるからです。人材を正しく評価する眼力を持った企業だとも考えられます。これが採用目標達成120%なら正しいと思いますが、みなさまも思い返してみてください。内定を出している候補者が、企業から見てスペックが高すぎる人ばかりということはありませんか。すなわち「求めるレベルが高すぎる」ということです。で、いざフタを開けると辞退した内定者全員が他社に入社している。これは、その企業が持っている市場での評価や魅力に比べて、より優秀過ぎる人を採用したいという意向が強かった結果です。最終選考とか内定とかプロセスが進んだ人に、こういう例が散見されます。とはいえ母集団の形成など、ある程度、選考プロセスのクオリティーを持っているわけで、採用の最低ランクはクリアしているとも考えられます。

ところが、こういう候補者は過去のコラムでも触れてきたとおり、その会社が思っているより多くのオファーを各企業から受けています。それで他社との争奪戦のステージに立ったときに「選んでもらえない会社」であるにも関わらず、エントリーしている候補者は高いレベルの人材ということで、つまり「合わない」わけです。こういう会社はずっと採用を続けていても、冷静に見ると採用したい人の数値はおそらく未達で推移していると思われます。これはトップや現場責任者が求めているレベルが高く、そこに柔軟性がなく、窮屈な採用をしているということでしょう。

私はこれまでの経験から、内定受諾率が50%を切っている企業はオーバースペック症候群になっている可能性が高いと考えます。例えば2人に内定を出した時、1人は入社し、1人は辞退したとします。過去数年間の統計を取ってみてください。2人に1人以上「この人はぜひ採用したい」という人が逃げてしまった場合は、採用条件が人材市場とずれた動きをしていることが多いので何らかの手当てをしなくてはなりません。ここで目をつむってギャンブル的要素で「ちょっと逃げられちゃったけど仕方ないね」と楽観していると、プロセスはともかく企業が攻める姿勢で前に進んでいないので、早急な見直しが必要です。

どういう企業がこういう状況になるかというと、過去に急成長したものの今は踊り場にいて、市場から見るとすでにピークを過ぎている会社です。もしベンチャーであればメガベンチャーという意識があったり、過去の成功体験に寄りかかったりしがちです。ある種のプライドが市場との乖離を加速させます。そういう会社は「終わった」企業と見られています。上った山は下りるしかありません。頂上に君臨し続けるのは至難の業です。それを知っている優秀な人材は新興企業や隠れた有望企業が魅力的だと考えます。企業は採用に失敗すると「候補者が我々を理解できなかった」と責任転嫁することが多いようですが、内定受諾率が50%を切ったら冷静に分析してみていただきたいと思います。内定者のオーバースペックは選ばれない企業ならではのネガティブポイントと言えるでしょう。

さて直近3回のコラムで、優秀な人材を採用できない企業について3項目のネガティブポイントを取り上げ、見解を申し述べました。最初にお伝えしたように、これらは13項目のうちの3つです。あとの10項目はいずれ機会がありましたらご紹介したいと思います。私どもTESCOは多くの企業様とコミュニケーションを深めつつ、人材市場のスペシャリストとしてお役に立てるよう努めております。ネガティブ項目も率直にお伝えし、今後もポジティブな未来をめざして貢献してまいります。

以上