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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第83回
2023.02.24

採用できない企業のネガティブポイント ② 「採用プロセスの柔軟性が低い」

採用候補者に選んでもらえない企業のネガティブポイント、その2点目は採用プロセスの柔軟性が低いことです。最近の採用の動向では、企業が一方的に都合のよい人を選んで「面接してあげる」という風潮が変わってきています。むしろ現在は売手市場になったと言っても過言ではありません。昔のような労使関係、企業が従業員を選んで思いのままに使うという時代は過ぎ去り、最近は両者がイーブンな関係になっています。

優秀な人を転職させるためには、本人の転職の意向が固まるまでに接触するようになってきました。現在は候補者も情報収集が容易にでき、選択肢をたくさん持っています。ですから面接のタイミングも、候補者の意向がまだ煮詰まっていない段階で始めざるを得なくなっているのです。ところが規模の大きな企業は思考が昔のまま止まっているケースが多く、そこがネガティブポイントになっています。もちろんコーポレートブランディングをしっかり展開している会社は別として、企業はおおむね採用の手法が硬直化しています。

面接では「当社に入りたい理由」とともに「なぜ転職するのか」「転職して何をしたいか」を明確に伝えることを面接の第一段階とすることがあります。この方法は一見すると間違ってはいないのですが、この問いに明確な答えを持っていない候補者はアトラクトに時間がかかることになります。基本的な要素が固まらないうちに面接を受けてしまう人も散見されます。そうなると言わば新卒採用と同じような状況になり、企業研究している学生が就活の序盤で人材市場を大きく動かすのに似た状態になります。新卒でも中途採用でも「なぜ当社に入りたいのですか?」という質問に、きょとんとしてしまう候補者も少なくありません。そうなると会社を知ってもらうことから始めなくてはなりません。企業と候補者がお互いにコストと労力を使ってアピールするわけです。このような「なぜウチに来たいの?」という面接を行っていると、本当に優秀な人はこぼれ落ちてしまいます。何らかの理由があって単に転職したい人は集められますが、将来を託すことができるような人材を考えると採用未達が起きやすいのです。

そういう場合、企業は採用の手法を練り直し、トレンドを注視しながら柔軟に対応しなくてはなりません。情報をある程度キャッチしていて転職の意志が固まっていない人にも、まず会社の魅力を伝え、よく理解してもらい、本格的な志望の前に時間を割いて会社をPRする過程が必要になります。ここを踏み外すと、かなり硬直化した採用となり、結果的に採用確率が低下することになるでしょう。さほど柔軟性を持たなくても安定した採用ができるのは、市場評価が非常に高いとか、誰もが知っているとか、ブランディングに成功している企業です。日本は99.9%が中小企業ですから、新卒・中途を問わず採用の視点を柔軟にし、企業規模に応じてプロセス管理も見直さなくてはなりません。もちろん企業が「優秀な人を採用したければ」という前提付きですが。

採用における硬直した思考や手法は明らかにネガティブポイントです。誰でもよいからとにかく欠員を埋めたいというような場合であれば、転職意欲が旺盛な人を雇えばよいのですが、そのなかに優秀な人が混在している可能性は昔よりも低くなっています。それも市場トレンドの変化ということでしょう。変化には柔軟性を発揮して対応しなくてはなりません。10年前に流行したファッションをいま着ることはないと思います。採用プロセスについても柔軟性を大切にして、採用確率を向上させ、時代に合った人材確保をめざしたいものです。

以上