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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第67回
2022.04.27

人材紹介の料率は今後どうなっていくか

前回のコラムで日本の人材紹介の料率が高いことと、その要因についてご理解いただけたと思います。今回は料率がこれからどうなっていくのか、見通しを述べさせていただきます。結論から申し上げると、今後5~10年くらいは現状維持で推移し、その後は急速に二極化が進むでしょう。料率は高額か低額かの両極端になると考えています。


前回、私は料率が上昇傾向にあると書きました。これはなぜかというと、ひとつはかねてよりコラムで触れている少子高齢化によるものです。国は解決策をなかなか打ち出せませんし、施策があってもすぐに効果が出るわけではありません。企業の数は新規設立のハードルが下がったことで維持され、急激に減っているわけでもなく、求人企業の数も減少していません。もうひとつ、日本人は外国人をうまく使えないということがあります。これは英語が話せないというような理由ではなく、異文化の人材を組織に入れて自然体で接していくことができない経営者が多いということです。採用にあたっては日本人と日本語にこだわります。この少子高齢化と日本人優先の課題が解決できず、数少ない若者の争奪戦が激しくなります。若い世代の稀少性が高くなれば、採用市場での料率も高くなります。したがって料率は短期的には下がらないと読みます。これは他の国では見られない傾向で、日本は準鎖国のような気さえします。


しかしながら最近のコロナ禍で、多種多様な事業構造や世の中の慣習も含め、安易に予測できない変化を見せています。代表的なのはAIによるルーティン・オペレーションの機械への代替です。また製造などの大規模な労働力を伴うものではなく、ヒトやモノを最小限にして大きな利益をあげようとする「持たない系」の企業など、よく言えばテクノロジーを活用した、悪く言うと人間を排除した、元手を抑えて最大化された利益を求めるというトレンドの変化も見逃せません。


日本では20年ほど実質賃金が上がらずに来ていますが、社会構造の問題としては労働意欲減退など、そういったマイナス要素が予想よりも早く見られるようになると、必然的に雇用流動性が高くなります。私の見立てでは5~10年程度はそれほど加速度的に変化しないと思いますが、その後はテクノロジーが中小企業にも浸透し、多くの労働市場の変化が強制的に起きる可能性があります。そうなると一般的な労働の対価も低下してきますし、賃金もより低下する可能性があり、それに引きずられる形で人材紹介の料率も下がってくる可能性があると考えています。そして一方では少子化で若者が減少し、ごく限られた優秀な人材には、少ないホワイトカラーや上級管理職を担っていただくという期待から、幹部人材の争奪戦が更に激化し、採用難易度の高いポジションの料率が上昇する可能性があります。そういう背景で二極化が進むと予測されるわけです。


このような現象は人材紹介だけでなく、いろいろなモノやサービスの業界において、同じような動きをするはずです。超富裕層や富裕層をターゲットにした高額、高品質、高付加価値のサービスと、そうではないデフレ、低成長に合わせたサービスで二極化します。今までは中流社会といわれ、それが変わる変わると言われて20年以上変わりませんでした。しかし今後は望むか望まないかにかかわらず、人間の予測を超えたAIの進化によって二極化は強制的に発生する、そのように予測をしています。そういう視点で、それに合わせた準備をみなさまそれぞれがしていかなくてはならないと思います。こうした時代の変化に合わせ、人材紹介、ヘッドハンティングの料率も二極化していくと予測しています。


以上