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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第11回
2017.02.13

女性のトップエグゼクティブが少ない理由

これまでゴールドカラーについていろいろなお話をしてきましたが、すこし気になっていることがあります。私たち東京エグゼクティブ・サーチも、お読みいただいているあなたも、ゴールドカラーというトップエグゼクティブのイメージを無意識のうちに男性として思い描いていなかったでしょうか。もしそうだとしたら、それは何故でしょうか。

私たちの社会は男性と女性が約半数で成り立っています。それなのに政治、経済、社会などの主要分野で女性がトップとして活躍する姿はあまり多く見られません。実際に仕事をしてみれば、男性よりも女性のほうが優れた能力を発揮することも多いのに、なぜ日本では企業のトップに女性が就任しにくいのでしょうか。わが国は女性経営者の数が先進国で最低レベルといわれていますが、その背景には何があるのでしょう。

現在、給与水準や物価がデフレで低下してきたことは、どなたも感じていらっしゃると思います。サラリーマン家庭でも生活の維持が難しく、共働きしなければならなくなったケースも見聞しますが、これはある意味、女性の社会進出には追い風かもしれません。それでもわが国では子育て支援が遅れており、女性のキャリア発展が妨げられているという見方が一般的です。しかし、私はすこし違う見方をしています。

TESCOがこれまでの経験で感じていることは、高度なマネジメントをしていくためのエグゼクティブ教育が女性に対して基本的にされていない、ということです。新入社員からトップエグゼクティブに至るまでに必要な段階的なマネジメントスキルについて、企業からのトレーニングがないのです。これでは女性が階段を駆け上がることはできません。

なぜ会社に女性の上司が少ないか。それは男性が嫉妬して女性を潰すからです。多くの男性は相手が女性というだけでキャリアの階段から引きずり下ろします。注目すべきことですが、こうしたときに男性は集団で動きます。経営安泰の大企業ほど「自分さえよければよい」集団になりがちで、社員の多くは自分のために仕事をしています。そこで女性が上司になることへの感情的な嫌悪感があるようです。女性の場合、正しい意見を言っても正義感と原則論で攻めて来るため激突が起きやすく、普段対立している男性同士も結束して女性を追い落とします。これでは女性のトップエグゼクティブが台頭できるわけはありません。こうした男性との戦いが、段階的なマネジメントスキルの修得を応援する仕組みがないことと相まって、女性をエグゼクティブの道から排除しているのです。

さらに私見ですが、女性には親分肌のパーソナリティが少ないということも影響しているように思います。自分にグループや派閥があったとすると、自分で集めてきたお金とポストを配分しなければなりません。それが出来なければ親分にはなれないのですが、そういうことをするのを嫌がる女性が多いのです。「正しく仕事をして儲けましょう」では組織は動きません。会社の一定のポジションで女性が消えていってしまうのは、そういうことが背景にあると思います。そこまでして仕事をしたくないという女性側の嫌悪感、それをされたくない男性側の嫌悪感が重なります。これも女性管理職の数が少ない実態のひとつと思われます。

外資系企業は管理職に女性を35%以上登用すると決めています。こうした具体的な数字を挙げているということは、そうしないと日本では女性管理職が増えないということを外資系企業が理解しているということでしょう。TESCOはこう考えます。女性のトップエグゼクティブが輩出するためには、女性が働きやすい環境を整備するだけでなく、親分肌、姉御肌になるための女性自身の努力も求められているのではないでしょうか。そして最後に言っておきたいことは、真の経営者に近づいてくれば、性別はどうでもよくなるはずだということです。