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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第104回
2024.11.05

本当にあった「人材紹介」トラブル集 素行問題

最近は個人情報保護の立場が強化されているので、興信所でさえも、本人に断りなく個人情報を取得することは慎んでいます。エグゼクティブのサーチ活動も、必ず本人の同意を得て、調査が行われます。また本人の同意のもとで本人の推薦した人物が人物評価するレファレンスも普及してきました。従って個人情報の調査については以前より限定的になっているかもしれません。

そのような状況のなかでも、業種、業態、あるいはエグゼクティブのポジションによっては素行調査が実施されることがあります。一般従業員やマネージャーレベルの転職ではほとんどありえませんが、トップレベルの役職者が一定のポストに就くときには、チェックされる可能性があるので要注意です。特にBtoCで女性向けの商品を扱うような会社では、企業イメージを大事にするため、エグゼクティブの素行にも神経質です。
素行調査というと、探偵が尾行するようなイメージを思い浮かべるかもしれませんが、一般的にはプライバシーに配慮した上で、常識的な範囲で行われます。ただし私人と公人では違いもあり、企業の最高レベルの調査は水面下で行われています。エグゼクティブでも仕事ができればすべてが許容されるといったものではなく、人格、能力、コミュニケーション力などはもちろんのこと、日常生活の素行を重視した選定基準があると思っておきたいものです。キャリアとともに業績を上げていき、周囲から役員候補と目されるようになったら、身辺ケアに注意を払うことも甲斐性のひとつと認識しましょう。

さて、TESCOが扱ったエグゼクティブの素行問題でよく遭遇したのは、いわゆる公金の横領です。横領というと犯罪の匂いがしますが、最初の一歩は意外と簡単です。なぜなら多くの場合、横領イコール「経費の乱用」だからです。
ある大企業の男性エグゼクティブは、女性問題が経費乱用の原因となり、やがて巨額の横領事件を起こしました。最初は食事代など少額の接待交際費からはじまり、交際の深まりとともに金額が徐々にエスカレートしました。男性は優秀なエグゼクティブで仕事の業績を上げているにもかかわらず、背後にいる女性が男性をコントロールするようになり、やがて会社の経費を吸い上げる存在になりました。女性問題が絡むと、男性が仕事で結果を出しても、それが実りません。このケースでは交際していた女性が高級な衣服を買いあさり、高価な宝石を身につけ、高級車を乗り回すようになったところで経費乱用が明らかになり、男性は解雇され、業務上横領で会社から告訴されました。規模の大小はあるものの、このような例は枚挙に暇がなく、人間の欲望や業の深さを感じます。
多くの場合、役職者には支出が認められている経費があります。しかし、使う金額がその範疇に収まっていたとしても、後で費用の使い方がマイナス査定されることがあります。経費の上手なさばき方は、使ってもよい経費を使わないこと。役職者に認められている権利を行使するなら、会社に何らかのリターンをもたらす生きたお金にすること。会社のお金は自分のお金と勘違いする人が多く、そういう人物は実力があってもチャンスをつぶすケースを多く見てきました。プライベートの乱れはマイナスになるので、行動は常識の範囲内に留めておくことが大事です。

男性エグゼクティブの素行が乱れる原因は、多くの場合、女性問題といわれています。女性問題がなければ、酒の量も増えず、金遣いも穏やかなはず。しかし背景に女性の影がちらつくと役職者の素行は一気に悪化します。私はクライアント企業の経営者に「叩いてホコリが出るようなことはどのくらいありますか?」と直球でお聞きしたことがあります。すると10人中半数は口ごもりました。素行の乱れについては芽の小さなうちに摘むこと、深刻な事態になる前に正しい道に戻れるよう適格な助言者が必要です。私どもTESCOはエグゼクティブのオフィシャルからプライベートまで客観的に観察し、必要とあればアドバイスを行います。お気軽にご相談ください。