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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第33回
2020.01.28

レファレンスチェックの具体的な手法

一般的にレファレンスチェックは「レファレンスを取りたい」という希望が企業または人材エージェントからあれば、その候補者が過去に在籍した企業の上司、同僚を指名して実施されます。つまり誰にレファレンスをお願いするかは、原則として候補者が指名権を持つわけです。企業、エージェントが一方的に「誰々さん」と指名してくるわけではありません。ですから自分と相性の悪い人が指名されることはないということになります。
 
レファレンスの具体的な手法ですが、直接の面談というのは協力者にとっても負担になりますし、この調査は特に謝礼が出るわけでもありませんから、一般的には電話で簡単に行われることが多く、私たち人材エージェントが指名された方に用意したいくつかの項目に沿って指名させていただくというのが通常のスタイルです。一般的な質問項目は、人柄がどうだったか、仕事に対する取り組みはどうだったかなど、主観的な部分が多くなります。かつての具体的なプロジェクトへの取り組みなどを聞いても覚えていないことが多いので、やはり人となりを知るための質問が主になります。
 
自分がいないところで自分のことを誰かがヒヤリングするというのは心理的負担を感じるものです。このような調査を受けた場合でも特に問題ないように、日常的に周囲と良好なコミュニケーションを取っておくことが大事になります。
 
このレファレンスで情報を提供する協力者には何のメリットもないように感じますが、実はそうでもないというお話をしておきましょう。従来ですとこういうレファレンスチェックを行うというのは、やはり経営幹部のポジション等で行われることが多かったので、名の知れたエグゼクティブサーチ等が行うことが多く、インタビューの協力を依頼された方もエグゼクティブサーチとの接点がそこで生まれて、そこから自分の経歴をデータベースにインプットしてもらえる機会に恵まれることがあります。ですから外資系企業で活躍されている方で、このレファレンスをよくご存じの方は、エグゼクティブサーチとコネクションを作って、ゆくゆくは自分にも有意義な情報提供や紹介を得る、そういうバーター的な面もあって積極的に協力してくださる場合が多いのも事実です。他人のことについて答えるというのは負担になるように思えますが、他人事と考えずに気持ちよく協力してくれる方も多いのです。
 
またレファレンスでは経歴の詐称がないか観察しているという面もあります。たとえば英語がすごく得意だということだったのに、レファレンスを取ってみると「ある程度は話されていましたよ」と言われたとしたら、すこしニュアンスが違ってきます。レファレンスではそのような微妙なニュアンスも伝わるという利点があります。
 
実際のレファレンスではみなさん当たり障りのないお答えをされることが多いのですが、今までに極めてネガティブなことをお話になる方もいらっしゃいました。それは人格に対しての厳しい指摘でした。知己である候補者が指名したにも関わらず、そういう予想外の展開になることもあるわけです。このようなネガティブな情報提供は、候補者を批判するというよりも、客観的に厳正中立にお答えになることで調査を依頼した企業に貢献しようとしているという面もあります。
 
レファレンスはあくまでも採用活動において補完的なものであり、これによって採用が取り消されたという話はあまり聞いたことがありません。企業からすると一種のお守りというか、最終段階における儀礼的なものといえるかもしれません。日本の企業に勤務していれば一生レファレンスに遭遇しない人もいるでしょう。しかし最近は日本の会社が外国の会社に買収されるようなケースも多く、そこでレファレンスが突然行われる場合もあります。知らないよりは知っておき、その場合の対応などを考えておくことも必要だと思います。