社 長 コ ラ ムCOLUMN
ダイレクトリクルーティングと「大量送信」
このコラムでリファーラル採用について取り上げたことがありますが、そこでは「声を掛ける」という行為に着目しました。社内で従業員に協力を仰ぐ場合、入社からどれくらい経過した社員にどのような協力を仰ぐと効率がよいかというテクニック的な話題でした。そこで今回はダイレクトリクルーティングに自社でリファーラル対応するにあたり、それを定着させる方法について述べてみようと思います。
結論から申し上げますと、その答えは「大量送信できるかどうか」に尽きます。大量送信というのは、スカウトメールを大量送信できるかどうかということです。自社で大量のスカウトメールの送信ができるのであれば、ダイレクトリクルーティングを成功させる可能性が高まります。一方で「そんなことをやっている時間はない」とか「とても片手間ではできない」というような声が現場から聞こえてくるようであれば、断念された方がよいかもしれません。
どういうことかというとダイレクトリクルーティングすなわちリファーラル採用にはいろいろな方法がありますが、代表的なやり方というのは自社に興味を持ってもらえるように、そして候補者の心当たりがあるように、多数の知己を求めます。なすべきことは候補者に自社の魅力を伝え、興味を持っていただき、接触をし、オファーをしてアトラクトするという流れになります。通常これをコントロールしているのは人材エージェントです。しかしエージェントを使わずにコストを圧縮させたい、もしくは直接リクルーティングを手掛けることで何らかのメリット(ノウハウや効率など)を享受したいような場合は、天秤に掛けながら企業が判断して実施することになります。人材エージェントとダイレクトリクルーティングを併用されている企業もたくさんあります。
ダイレクトリクルーティングの最大のライバルは人材エージェントです。人材エージェントにもいろいろな会社があるのですが、昨今は「仕組み化」を成功させ、大規模な人員を擁してシステマティックにスカウトを手掛けるケースが増えています。まさに専門化しており、これに朝から晩まで取り組んでいる会社が増えています。
企業のダイレクトリクルーティングにおいては、専任担当者を置くことができる贅沢な会社がある一方で、大半の会社では人事担当者のタスク(役割)の一部となっていることが多く、他の業務も多数抱えていることが多いと思います。なので「やりたくても時間がない」ということになり、つい後回しになってしまいます。人材エージェントは仕組み化されて朝から晩まで大量のスカウトメールを該当者に送りますが、それと同じ感覚で、同じ時間帯、同じボリュームで勝負できない企業は、負け戦となる可能性が高いでしょう。
一見すると人材紹介会社の存在を省くことで数字上のメリットが感じられることはあるでしょうが、実際に兼務する人事担当者の稼働できるリソースを無視して企画が先行し、結局はかたちにならないというケースも数多く見受けられます。ダイレクトリクルーティングはユニークな取り組みで評価される部分も多々あると思われますが、それに従事する担当者がプロの人材エージェントに負けないレベルの「スカウトに掛ける時間」が確保できるかどうかを導入の指針とするとよいでしょう。このような視点でダイレクトリクルーティングの是非を考慮されてみてはいかがでしょうか。