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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第95回
2023.12.25

2023年下半期の採用動向と今後の傾向

緊迫した世界情勢を注視しながら2023年から2024年へ。すでに多くの企業が下半期を迎えましたが、中途採用市場では顕著な傾向が出てきています。これは人材業界大手三社の経営者から業界団体の会合等で私が聞き及んだ話題です。それによると書類選考の通過率が下がってきたというデータがあるそうです。ここでは某人材会社の実例をわかりやすく具体的な数字でご紹介します。

その人材会社は採用活動について前期2022年の下半期と今期2023年の下半期を比較したそうです。すると書類通過率が去年の下半期は23%でしたが今年の下半期は18%に下がっていることが判明しました。5%の下落というのはこの世界では大きな変化と言えるでしょう。大手人材会社というのはそれこそ1日に何千人という人々と日常的に接触しているので書類通過率5%の下落を売上に換算すると5億円とか6億円という違いになるそうです。

この書類通過率が下がってきたということは、内定が出にくくなっているということです。あたりまえですが内定が出にくくなっているということは採用のハードルが上がっているわけです。要はこれまで採用してきた人より基準を上げて厳選して対応するようになります。そうすると採用の予定数に充足しないことが多く、未達の人材は来年に持ち越しても、よい人だけを採用しようとします。結局、採用目標数が達成しないので採用のキャパシティも回復しません。そうなると下のほうから玉突き状態になってしまい、数字としては落ちてくるということになります。

すなわち各企業が2024年以降は景気の不透明感といいますか、景気が減退するリスクを感じてくるはずです。但しその一方で人不足と倒産も過去最高数値になっていまして、優秀な人材の争奪戦というのは過熱しています。このように一見すると矛盾している状況になっています。ここからひも解けるのは、簡単なオペレーションや事務的な作業をなるべく削減し、一部のパフォーマンスの高い企画や経営のポジションに優秀な人材を結集させて行こうという傾向の裏返しと理解できます。

そして2024年上半期に関しては先ほど触れたとおり、どの会社も採用のハードルが高く狭き門になり、その一方でどの会社も人手不足を嘆くという表面と裏面が全く正反対のキーワードが飛び交い、わかりにくい印象を感じる上半期になるのではないかと予測しています。このような混沌としたビジネスシーンであればこそ、ぜひ年末年始にご自身のキャリアの棚卸しをしてみてはいかがでしょうか。