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社 長 コ ラ ムCOLUMN

第15回
2017.07.10

損して得とれ。年収を下げるという裏技。

私たち東京エグゼクティブ・サーチには、転職を成功させる裏技としておすすめしている方法があります。それは転職の際に報酬を下げて新しい会社に移る方法です。普通は年収を上げたいと思って転職するわけですから「給料を下げるなんて!」と意外に思うかもしれません。しかしこの方法、上手く決まれば大きな果実を手に入れることができるのです。もちろん、したたかな交渉力が必要ではありますが。

ことわざにもありますね。
「損して得とれ」
「急がば回れ」
年収を下げて転職する理由は、まさにこのことわざどおり。いままでの実績や経験を勘案して年収が上がるような状況でも、あえて年収を下げて転職することで次のようなメリットが生まれます。

まず、転職先の社長に恩を売ることができます。転職にあたり非常によい条件が提示された場合、経営者の期待と熱意が感じられます。適正な報酬ならありがたく受け取るのもよいでしょう。しかし、もし提示された報酬が自分の能力を超えていると思えるときは、年収が上がった分を辞退して少し下げた額を提案し、1年目に業績を上げたら2年目に年収アップという提案をしてみます。“お試し感覚”で恩を売る方法です。

次に、敵をつくりにくいというメリットもあります。年収が高いところからスタートすると、社長が期待を寄せてくれたとしても、側近の役員や管理職は内心手ぐすねひいて待っていることがあります。転職先の全員があなたを歓迎しているとは限りません。高い報酬をもらうということは、年収をベースに人質にとられているようなもの。日々プレッシャーにさらされ、できてあたりまえという空気の中で仕事をすることになります。そして少しでもパフォーマンスが発揮できないことがあると評価が急落します。しかし、年収を下げて転職するとそうした敵をつくりにくく、評価に対する予防線を張ることにもなるのです。

そして、こうした裏技的な交渉ができると一目置かれるということもあります。交渉力があると社長だけでなく役員などにも好意を持って受け入れられることが多いのです。ときおり高額な報酬に執着してシビアな交渉を仕掛ける人がいますが、それが成功して高い報酬を勝ち得たとしても、相手はそのプロセスを忘れません。あとで足を引っ張られたり、失脚の材料にされたりすることもあります。

ビジネスの世界にも人間関係を深読みできない人がいます。マネジメントにおける“見えない人間模様”に目が届くかどうかも能力のひとつといえます。上司にかわいがられるのも能力のうち。経営者の中には、目先の収入にこだわる人は仕事ができない、という人間観を持っている人もいます。高い年収を求めて交渉に打ち込むことがマイナスになることもあることを知っておきたいものです。プロ野球の契約更改交渉などを見ていても、実力に見合った年収で気持ちよく一発更改する選手は、球団や同僚だけでなく、ファンからも愛されているように思います。あなたも年収を下げて契約するという裏技で、サプライズとかわいげのある存在になってみてはいかがでしょうか。