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医療MEDICAL

採用難易度:3.0

採用難易度の見方について

2017.12.08 更新分

業界分析レポート(医療)

REPORT

■薬剤師

薬剤師は全業種の中でも採用難度が高い業種です。各種医療機関、調剤薬局といった従来の薬剤師のフィールドだけではなく、近年は製薬企業や医療周辺企業でも幅広い分野に渡り、薬剤師資格が求められる傾向が強まり、採用難度の高止まりが続いています。

元々薬剤師資格は、理系の専門学部を修了することが必須条件の難関資格という位置付けでした。加えて2010年以降は少子化や6年制への制度変更の影響を受け、複数の大学で薬学部の定員を削減するなど、資格獲得者は年々微減傾向が続いています。

これに対して薬剤師を必要とする分野は、急速に拡大しています。

例えば製薬企業では研究開発職だけではなくMRにも薬剤師を登用するケースや、医療メーカー、医療サービス企業等でも総合職として薬剤師を優先的に採用するケースも珍しくありません。この背景には高度化する医療業界全域において、チャネル開拓や事業開発にも薬学の専門家を求めるニーズの高まりがあります。

薬剤師有資格者の供給増加が見込めない状況にもかかわらず、キャリアの需要、選択肢は広がり続けているため、当該資格者の需給ギャップは当面続くものと想定されます。この状況下で優れた人材の獲得を求める場合は、リテーナー型のサーチが効果的です。リテーナー型のサーチでは候補者の特徴やニーズに関しても詳細な分析報告を行うため、要件と待遇条件が異なる場合も緻密なコンサルティングによりサーチの期待値をより高めることが可能です。

■医師

医師は特定の診療科や、地域による需給ギャップ格差が近年拡大を続けている業種です。また待遇だけではなく、明確な医療コンセプトの有無が採用に大きく影響し、一部の医療機関では採用の難化が事業継続の高い障壁として顕在化しています。

個別の診療科としては特に循環器科、呼吸器科、産婦人科、小児科、救急においての需給ギャップが激しく、各医療機関の採用が難航しています。

都心よりも地方においてはその傾向が更に強くなります。長期に渡る医師不足を解消するために、行政からの支援も受けながら様々な施策が施されてきましたが、東北の特定の地方などでは東日本大震災以降深刻な医師不足が常態化しています。

これらの人材不足は、特に若手医師から一部の診療科及び地方医療機関が敬遠されていることが最も大きな原因です。

敬遠の背景には、医療過誤や医事裁判等に繋がりやすい診療領域のリスクの高さや、救急に代表される過酷な労働環境があります。

一昔前までは国立大学を筆頭とする医局の統制力が強く、魅力あるポストと引き換えに半強制的な人事権を保持していました。しかし2004年の新臨床研修制度(スーパーローテート)や、09年以降の断続的な改定が医学部や医局の影響力を徐々に弱め、医師個人の働き方やキャリアパスがより重要視されるトレンドに変わりつつあります。

例えば診療に明確なコンセプトを持ち積極的な設備投資を行うことで、地理的に恵まれていないにも関わらず、全国から優秀な医師が集めることに成功している医療機関も地方には点在します。逆にポリシーが不明確で先端医療の経験を積むことも難しい医療機関では、高待遇を保証しても採用が難航するケースが散見されます。

このような状況を打開するためには、採用の課題をその前段階から一貫して解決するコンサルティングが必要となります。比較的流動性の高い当該業種の定着を図るためにも即効性のある対処療法よりも、根源的な課題解決に取り組むことが最適解であると考えられます。

■製薬業界

製薬業界は業界全域的な課題として、幹部人材の若返りが遅れており、各社30代中盤からその下の世代の人材確保に、強い採用熱を持つ傾向が近年目立ち始めています。

業界のプレイヤーは外資系、日系の2つに大別され、特に2010年以降は外資系製薬企業の国内での台頭が目立つようになってきています。

外資系製薬企業は膨大な研究費を元に、他社との差別化が可能な新薬を多数揃えており、これが特にMRの求職者にはセールスに関わる大きな魅力となっています。また基本報酬やインセンティブの高さだけではなく、福利厚生も他業界の外資系とは異なり手厚いものがあり、優秀な人材確保とその長期定着に成功しつつあります。

このような外資系製薬企業の積極的な採用動向に対して、日系製薬企業はやや人材採用にこの数年は消極的でした。

この理由としては国内の薬価の断続的な引き下げが続いており、将来に対するセンチメントが悪化し、人材や研究開発費等への投資額も伸び悩んでいることが挙げられます。買収、合併等のM&Aの話題も多く、主力商品の特許切れもこれからの2,3年に集中しており、万一の劇的な収益構造の悪化に、コストを予め削減することで備えようとする意識が、過剰に働いているものと考えられます。

ただ、その悲観的な期間も既に長期に渡っているため、人員構造の世代的な歪が顕在化し始めています。この歪の特徴は、30代中盤の層の薄さと言えるでしょう。製薬企業は以下の2つの背景から強い危機感を持ち、このレイヤーを喫緊に充足しようとしています。

第一には薬事、モニターなどの専門職人材の不足感が挙げられます。これらは未経験者を短期的に教育することが困難であるため、10年程の経験を積んだ即戦力に値する年齢層が、各社共通の採用ターゲットとなっています。

もう一つは将来の中枢幹部を、このレイヤーの優秀な人材を登用することで担保しようと、企業が中期的な戦略を立て始めているためです。日系製薬企業では幹部層の年齢帯を、ドラスティックに変えることは求めていません。このため今の中枢幹部の年齢から、10年前後を逆算した年齢層の早期充足を求めています。

この2つのトレンドが同調する30代中盤のレイヤーでは、各社による獲得競争が加熱しています。このため、求める人材のコンセプトや待遇、条件等を明確にコンサルティングし、人材市場のトレンドに柔軟に対処することが求められています。競争は長期的にエスカレートすることが見込まれるため、採用への投資は時期を早めたほうが、より高いコストパフォマンスを期待できるでしょう。

一方、この数年間採用が活発であったMRや臨床開発職等は、開発部門の陣容を縮小しようとする動きが相次いでおり、採用熱はやや冷めているようです。小規模な製薬企業では、余剰人員の整理を図る動きも散見され、市場の流動性は以前より活発となっています。この職種の不足を感じている企業においては、逆に思い切った量と質の採用に、踏み切る良い機会といえるかもしれません。

■医療機器業界

医療機器業界の採用動向は、医療業界の中では比較的活発ではないといえるかもしれません。各企業も新部門の創設や、エリアの拡充といった積極的な事業拡大の動きは小康状態で、定年や自然流出分の欠員を適宜補充し、想定する定員の維持に留まっているという印象です。

少し前まで病院、医院、歯科医院等医療機関の新規開設動意は力強いものがありました。ただ近年、特に首都圏や関東の都市部においては、医療機関数が飽和に近づきつつあります。

例えば関東圏の歯科医院の開設数はこの10年で3割減少し、また経営的に危機、もしくは持続可能性に疑問符がつく医療機関も稀ではありません。

このように新規開設があまり望めない現状において、医療機器業界も販路の新規開拓は難しく、旧式化した医療機器の更新受注に注力せざるおえないという状況を強いられています。

ただこのような業界の停滞トレンドの中でも、優れた技術営業が可能ないわゆるサービスエンジニアに対しては、各社強い採用熱を持っています。

先端医療機器に高い知見をもち、新旧の医療機器更新の整合性を担保したり、競合する医療機関との差別化をサポートできる優れたサービスエンジニアは、停滞感の強い医療機器業界では一際採用難度の高さが目立ちます。

この業種の優秀な人材を獲得するためには、理想人材像のコンサルティングやそのリスト化を伴うリテーナー型のサーチが効果的です。自社にとって理想的な医療機関及びエリア担当経験者や、進出を検討している先端技術に見識の高い人材の登用は、多数の新規チャネル開拓に繋がる高効率の人的投資であると考えられます。

また他の業種に関しても流動性が比較的高い現状は、人材獲得を狙う好機にも映ります。処遇や条件等に幾つかの創意工夫を施すことで、競合他社からの中堅、中枢人材の獲得を狙うことも可能です。

キーとなり得る競合他社の優れた人材の登用は、大きなシナジー効果が期待できます。何かしらの積極策を検討中の企業にとっては、現在は大胆な人材戦略を考えるフェイズと捉えるべきなのかもしれません。

 

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