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業界動向INDUSTRY TREND

建設・不動産CONSTRUCTION / REAL ESTATE

採用難易度:5.0

採用難易度の見方について

2018.02.16 更新分

業界分析レポート(建設・不動産)

REPORT

近年でも例を見ないほどの空前の好景気が続いている同業界の中で、まずは広義の建設業界に目を向けてみたいと思います。

この業界はさらに細かく分けると建築・土木・プラントの3つに区分して考えることが可能です。ただ上述の3つの業態や企業規模に関係なく、特に下記3職種に関して極度の採用難が続いており、各企業はそれがボトムとなり業績の伸長に弾みが付きにくい状況が生まれ始めています。その3職種を具体的に羅列しますと、①施工監理技術者 ②電気設備設計技術者 ③積算の3つです。

現在、東京オリンピック準備に代表される建設・開発ラッシュが続いておりゼネコンやサブコン、関連する設計事務所やコンサルティング会社に至るまで、多くの受注やプロジェクトが過剰に進行しており、一部では受注を断念するような状況下です。特に国家資格を有する技術者は完全に供給不足に陥っています。

通常であれば若手層を育成することで、需給バランスはある程度の期間を経て解消に向かうものです。しかし同種のビジネスニーズは、あと数年でピークアウトを迎えるとの各社経営首脳の共通の予測があり、時間のかかる育成を充実させる動きは散発的です。しばらく供給不足を解消する目処は立っていません。

 

この問題に対し、特に大手・準大手は退職したOBの再雇用などで不足する人員を補っています。こうした施策が取りにくい中堅以下の企業は、採用が深刻な影響を及ぼす危険性が顕在化し、各種新しい採用の手法を模索しています。

その一つとしてエグゼクティブサーチが、検討の俎上に上がり始めています。

伝統的に建設業界はオーナー企業が多く、近代的な経営管理や人事管理への移行が遅れており、様々なコンサルティングを必要とするエグゼクティブサーチは縁が遠いものであるという認識がクライアントにも我々にもありました。

しかしながら、優れた有資格者の即戦力人材を短期的に集めなければならないというニーズは強く、自社の人事部門で解決できる難易度を超えた状況でもあるため、クライアントの皆様から専門職のヘッドハンティングをご依頼頂くケースが急増しました。

この5年間に限ると、建設業界がヘッドハンティングの依頼増加率では最も高いと申し上げても過言はないかと思います。我々も依頼のご期待に沿うべく、建設業界専門のサーチコンサルタントを育成し、1週間以内にロングリスト(想定候補者)50名~300名程度を準備できる即応体制を常に整えています。

 

上記のようなアンバランスな需給の偏りは、同業界の人事設計にも影響を及ぼしています。短期的に採用を決定するために、サーチの現場でも条件交渉(オファー金額等)が中心になりがちです。近年、この業界での転職は前年収に15%~50%のプレミア(増収)を付与してのオファーが時に見受けられますが、過剰なオファーは健全な人事管理に好ましいとは言えないでしょう。加えて前述のとおり、数年後、業界の市況がピークアウトした場合、企業の持続的な経営に歪を与えかねません。その際は大規模なリストラクチャリングの選択肢を避けることは難しく、長期的に見ればキャンディデイトのキャリアにも深刻なダメージを与えかねません。

我々としても3~5年先の業界の不透明な予測をクライアント企業とも共有し、人事戦略を長期的なビジョンで策定することを試みています。エグゼクティブサーチとして、人事評価システム等に関しても提言を活発に行い、好不況に影響を受けにくい近代的な経営管理企業体質に変革するためのコンサルティングも提供しています。

 

 

もう一つの不動産業界も、建設業界と同様に一種のバブルのような類似の状況が続いています。

各種大型の再開発が主に都市圏を中心に活発なこともあり(商業施設や住宅含む)、用地仕入や不動産ファイナンス全般等、業界の中でも専門性の高い職種群に関しては、既存年収に15%~25%のプレミアムをつけて人材の引き抜きを試みる激しい動きも散見されます。

上記のような加熱する状況は2005年~2007年に見受けられた状況と非常に酷似しています。この加熱は2008年後半に急速に収束し、逆にリストラクチャリングが数年続く惨状に逆転しました。

この業界は深刻な人手不足から待遇が高騰し、そしてピークアウトと共に極端なリストラクチャリングが行われるという傾向が拭えません。この傾向は一般論として認識はされていますが、当事者となると客観的な把握が難しく視野が狭くなりがちです。このため企業サイド、キャンディデイトサイド共に、地に足の着いた中期的な視点を抑えたアクションが大切です。

ただ逆の視点から見れば、アクションを起こさないことにリスクが発生する状況であるとも言えるでしょう。最近見受けられるユニークな特徴としては、中堅・ベンチャー企業等が時に大手を上回る破格の条件を提示し、大手からの大胆なヘッドハンティングの成功がしばしば見受けられます。この種の先鋭的な動きを、リスクと捉えるか投資と捉えるかは、企業の中長期的な経営判断次第だと思われます。この業界は特に一部の最大手クラスに、優秀な若手・中堅が集結している傾向も強いため、サーチを仕掛けてみるのも面白いかもしれません。

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