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採用難易度:3.0

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2021.10.21 更新分

業界分析レポート(エネルギー)

REPORT

電気・ガスなどを扱うエネルギー業界は政治や紛争、環境問題、大きな事故、国際情勢などの影響により、民間から国国家や公的機関主導へ、またその逆に国家主導から民間企業に業務が移管されるという歴史が繰り返されてきました。電源種も火力・水力などによる発電から原子力、再生可能エネルギーへ。近年では電力・ガスの自由化も始まり、業界全体が大きく変化しています。

それによって電力・ガス会社のみだったエネルギー業界に、商社系企業・通信・旅行・鉄道会社などが新規参入し、業界の垣根が広がりつつあります。今回はその中でも発電事業に関わる企業群として、大手インフラと発電所プラント企業に焦点を絞り、今後と採用動向を考察します。

 

■エネルギー(インフラ&プラント)業界を変える脱炭素化の取り組み

オイルショックの影響によって石油の依存度合いを下げる、地球温暖化問題などで環境への影響が考えるなどの必要性が出てきたことで、長い間再生可能エネルギーによる発電に注目が集まっています。2015年のパリ協定で日本は2013年時と比較し、2030年度には温室効果ガスの排出を26%削減するという公約を世界に向けて発表しています。

出典:環境省ホームページ【「日本の約束草案」の地球温暖化対策推進本部決定について(お知らせ)】
https://www.env.go.jp/press/101241.html

温暖化対策としてのCO2削減目標を発表したことにより、温室効果ガスの排出が多い火力発電をなくしていく動きが強まり、原子力や再生可能エネルギーへの切り替えが急務となっています。しかし、原子力は東日本大震災での自己から10年経った今でもその安全性を疑問視する声が大きく、2021年時点で再稼働が白紙になったと報道されました。さらに新エネルギーへの機運は高まっていますが、実際の事業の立ち上がりは少ない状況です。

理由としては、再生可能エネルギーの発電コストが世界に比べて高いことが挙げられます。FIT制度で長期・安定の収益を約束したことにより徐々に増えてはいますが、コロナ禍による電力需要の減少や対面営業ができないことも影響したためか、伸びはよくありません。

太陽光発電や風力発電などの事業も売上・利益が極小で、メディアや国際世論の後押しでクローズアップされているほどうまく進んでいるわけではありません。このようにメディアが報じる割には、この10年間での動きが少ない業界といえるでしょう。

 

■大手インフラの採用動向

電力・ガスが自由化されてから新規参入業者が出てきているものの、大きなゲームチェンジはなく、現時点では大手インフラの寡占化構造が一気に変わる想像はできません。

このような状況から離職率も特に低い業界であり、業界内部の人材流動性も低いのが特徴です。給与がまだ低い若年層の離職は珍しくありませんが、年齢を追うごとに給与水準が高くなる傾向があるため、流動性が低いものと見られます。

寡占状態が大きく変わらない見通しがあるため、会社全体から見て新規事業開発や新規チャネル開拓等に取り組みが、他業界と比較して少ない傾向にあります。電力業界特有のスキルは育つものの、他業界で通用するスキルを積める機会が少ない、スキルを評価されづらいことが流動性の低さに現れていると考えられます。

しかし、日本の人口減や省エネ意識の高まり、コロナ禍での需要減によって今後は徐々に事業の先細りが想定されます。つまり、減る分の利益を稼ぐための人材ニーズは一定数存在するということです。ニーズは大きく二つに大別されます。

一つは日本の高品質なインフラをパッケージとしてまだ電力供給が完璧ではない海外、特に東南アジアに売り出す方向性です。特に深刻な電力不足に悩むマレーシア・ベトナム・インドネシア・ミャンマーなどは外資活用を進めているため、力を入れていく企業も多いでしょう。国の方針によって電源種の割合は大きく異なりますが火力・原子力に加えて、再生可能エネルギーの太陽光・風力・水力・地熱など、日本でも開発経験がある電源種に力を入れていく方向性です。

海外に力を入れるインフラ、すでにグローバル展開しているプラントともに求められるのは事業を海外展開した経験や新規事業・建設などに際する交渉経験です。それに加えて展開を考えている国の国民性や気候などを感覚で捉えられていると、さらに有利に働くでしょう。

日本から海外展開を考えたときには、距離も近く地政学リスクが相対的に少ない東南アジアが理想的な市場です。求められるのは海外の事業戦略、中期経営計画の策定、部署・支店・拠点立ち上げ 、競合分析・市場調査、国や現地企業との交渉などの経験です。また、海外ではO&M体制が整っていないため、オペレーションとメンテナンスを指揮した経験があると重宝されるでしょう。

まだ電力供給の仕組みが整っていない東南アジアでは、スムーズな送配電のために地産地消の電源開発が求められるケースも多いです。そのため、発電所の設計や大規模施設の立ち上げで国・企業・周辺地域との調整などを経験したことのある、建設、土木、プラント企業の経験者に対するニーズは少なくありません。

政府対応や公的なネゴシエーション経験がある、重工業企業や商社出身者との相性も悪くないはずです。また、商社と連携・アライアンス強化を狙うインフラ企業も多いため、商社や商社機能経験があると、各種プロジェクトの参謀役や先発要員として優遇され、条件面でも有利に働く可能性はあるかと思います。

ただ、総合商社出身者の場合は現職の待遇がとても良いため、ミドル層の待遇には見合わない可能性があり、一定の待遇減は覚悟が必要かもしれません。

もう一つは、スマートグリッド等のIT活用による「見える化・効率化」です。IoTと組み合わせて電力の需要と供給を最適化できるため、コストを抑え利益に貢献できます。需要が少しずつ減っていく中で、スマートグリッドに力を入れる企業も増えてくるはずです。この分野ではITの中でもWEBやアプリ、DBといった分野と共に製造業の中で組み込みのアプリケーションや、高度なネットワークエンジニアリングのスキルを持つ方のニーズも今後は増加すると思われます。

日本の企業では、上記のような企業内のエンジニアの待遇はあまり恵まれていないケースが多く、転職が候補者、企業双方に利益をもたらすケースも多いようです。

業界から逆に転職していく人は総合、専門商社やロジスティクス系(物流、海運、鉄道等)のエネルギー関連プロジェクトでも同様の経験を活かして活躍できるでしょう。また、新しく再生可能エネルギーという新規事業に携わった経験、海外展開・国との交渉経験はインフラとは一見関係のない業界でも、根強い需要があります。

 

■発電所プラントの採用動向

電力大手と密接な関係のある発電所やプラント製造に関する業界は、現時点でも電力大手と比較してグローバル展開をしているケースが多いです。世界でもアメリカやフランス、ドイツに歴史あるゲームメイカーが存在し、中国、韓国等にも新興のプレイヤーが台頭してきています。

発電所やプラント製造は、鉄鋼や精錬事業と相似する点が多く、同事業が飛躍しつつあるインドや中南米でも、新しいプレイヤーが今後発言する可能性は大いにあるでしょう。

こちらの業界の人材流動性に関しては、比較的高い傾向があります。素材や商社、機械等経験を活かすことのできる業界もあり、また大きなプロジェクトの開始や閉鎖に際して流動性が高まることも多いです。

待遇に関しては若手がやや低い傾向がありますが、福利厚生の充実があるため同年代に比べて良い待遇を得ていることが多いです。さらにアサインされるプロジェクトによっては、他では経験できないスキルを身につけることも可能で、30~40代前半で自分の志向性に合わせて転職することも難しくはありません。

この業界では難解なプロジェクトやグローバルなプロジェクトへの参加は、努力が必要で消耗も激しいですが、自分への大きな投資となります。是非チャレンジングなプロジェクトに積極的に手を上げて、経験やスキルを磨いてみてください。それがその企業で自身をプロモートする際や、外へオポチュニティを求める際に、必ず自らを助けることになるはずです。

 

■採用側

採用側のマインドや動向は、インフラや発電所、プラント事業に関わらず、かなり似た傾向があるようです。
それは「リスクをとって新事業をドライブできる幹部が欲しい」というスローガンに尽きるかと思います。新卒採用においては、歴史や一定の知名度を背景に、優秀でスマートな学生の獲得はある程度成功を収めています。ただ例えば商社と比較して、内向きのマインドはあり、それがこの業界の独特の社風となっています。業界全体が変わる必然性を自覚しているのに、率先して行う有望な幹部候補が少なく、それを外部から調達できればと、この業界の多くの人事責任者クラスが悩んでいるかと思います。
そして候補者側からも、この業界で働いてみたいという潜在的なニーズや、チャレンジングな若手も多く居ます。ただ、その多くが条件面でのミスマッチや、時には書類選考で面接にも進めないという、双方に得のない状況がしばしば見受けられます。
具体的例を上げると、30前半で功績を残しているIT業界のプロジェクトマネージャー、商社の海外プロジェクトマネージャー等とは、待遇面の乖離が大きく、業務内容で関心を持った候補者も、選択肢から外すことが多いようです。ITや総合商社は、自らプロジェクトを企画し、社内ベンチャーで功績を残した候補者は30前半でも、エネルギー業界の2クラス上の待遇となっています。この点を強く自覚し、採用責任者が経営陣を説得できれば、有望な幹部候補を得ることも難しくはないと思います。
もう一つの選択肢として転職回数、離職中、創業経験、フリーランス経験等、エネルギー業界は強く疎まれる経歴上の瑕疵を持つ候補者にも、何か光る部分があれば、面接で率直に伺ってみようと試してみることです。確かに上記事項で、人事担当者が眉を潜めるのは同意しますが、時に大きなドライブ力を持つ候補者も眠っています。またエネルギー業界は経歴や毛並みの優れた方々は多く揃っているため、仮に少々バランスの悪い候補者を採用しても、カバーする余力は十分あるかと思います。強い逆風がまだ吹かない今の内に、試す価値はあるかと考えられます。

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